>> 豊田市中央図書館に指定管理者制度の導入をしないことを求める陳情書(2016/9/2)
【参考リンク】
>> 『「豊田市中央図書館への指定管理者制度導入計画の凍結・再検討を求める要望書」回答についての質問』に対する回答(2016/8/16)
>> 「豊田市中央図書館への指定管理者制度導入計画の凍結・再検討を求める要望書」回答についての質問(2016/8/5)
平成28年9月2日
豊田市議会
議長 近藤光良 様
陳情者 住 所 (個人情報保護のため省略。原本では記載)
団体名称 図書館友の会全国連絡会
代表者の氏名 代表 福富洋一郎 印
豊田市中央図書館に指定管理者制度の導入をしないことを求める陳情書
【陳情理由(陳情要旨)】
私たち「図書館友の会全国連絡会」(以下、「図友連」という)は、公立図書館の充実と発展を求めて活動している図書館友の会の全国組織です。私たちは図書館のあるべき姿として、2009年に「私たちの図書館宣言」を発表し、公立図書館の振興・発展のための活動を行ってきました。
この度豊田市が、豊田市中央図書館に指定管理者制度を導入する条例案を議会に上程すると伺い、この条例案に反対します。条例案を議会で審議していないにも関わらず、8月に指定管理者の募集をしたことは、法令違反で不適切な行為です。太田市長に当会から質問状を提出いたしましたが、条例改正手続きを先行しなかった合理的な理由は伺えず、議会軽視と考えます。
ご承知の様に豊田市中央図書館は、図書館法に基づき設置された地域社会の発展になくてはならない大切な教育機関です。図書館は教育委員会の責任で設置し、直接、管理運営されるべきであり、指定管理者制度の導入は公立図書館の基盤を破壊するものだと私たちは考えています。渡海元文部科学大臣、片山元総務大臣、また日本図書館協会は公立図書館への指定管理者制度導入は「基本的になじまない」と述べています。
その理由は、公立図書館の運営を指定管理者が行えば、次に述べる大きな課題が顕在化するからです。指定管理者制度が導入されてから10年になりますが、全国の図書館3,241館の導入率は13.2%(2015年)と他の公の施設に比べ低く、且つ導入後直営に戻した図書館が12館あることが、それを示しています。豊田市にも次に述べる指定管理のデメリットがあると考えます。
1 制度上の課題
2 設置者側からの課題
図書館に関する政策立案や図書館サービスなどの立案に当たっては、現場の図書 館員の参加が必要だと考えます。また、公の施設の安全性の確保に関して、指定管理者と地方公共団体との責任分担が明確でなく日常の密接な連携がとれない事例が各地で起こっています。豊田市の場合、教育委員会内に「図書館管理課(仮称)」を設置することでこの課題に対応しようとしていますが、図書館現場の経験のない職員が、指定管理者を適切に管理が出来るとは思えません。
3 利用者側からの課題
以上指定管理者制度導入に関しての反対理由を述べましたが、「豊田市中央図書館運営基本方針」に示された「基本理念」に向かって、豊田市は、直営で、引き続き図書館サービスの充実を図っていただくよう、また議会はそれをきちんとチェックし、市民の代表として図書館を支援していくよう陳情します。
【陳情事項】
以上
>> 豊田市中央図書館に指定管理者制度の導入をしないことを求める陳情書(PDF)
【参考リンク】
>> 『「豊田市中央図書館への指定管理者制度導入計画の凍結・再検討を求める要望書」回答についての質問』に対する回答(2016/8/16)
>> 「豊田市中央図書館への指定管理者制度導入計画の凍結・再検討を求める要望書」回答についての質問(2016/8/5)
平成28年6月16日
豊田市長 太田 稔彦 様
豊田市教育長 福嶋 兼光 様
豊田市の図書館を考える市民の会
代表 杉本 はるみ
図書館友の会全国連絡会
代表 福富 洋一郎
豊田市中央図書館への指定管理者制度導入計画の凍結・再検討を求める要望書
平素よりの市政へのご尽力につきまして、改めて敬意を表します。
「豊田市の図書館を考える市民の会」は豊田市中央図書館が市の責任において運営され、真に市民のための図書館であることを願う市民の会です。また「図書館友の会全国連絡会」は、公立図書館の充実と発展を求めて活動している全国組織です。
私たちはこれまで講演会や他の図書館の視察を通して指定管理者制度について学習し、意見交換をしてまいりました。その結果、指定管理者制度を拙速に導入することがこの先の豊田市の行政に大きな禍根を残すのではと危惧しています。
私たちは下記の理由により平成29年度からの豊田市中央図書館への指定管理者制度導入計画を凍結し、市民を交えて再検討することを強く要望します。
つきましては、提出しましたこの要望書について、早急にご検討いただきその結果をご連絡くださるようお願い申し上げます。また広く市民に向けた説明の実施についても、ご検討いただきますよう、併せてお願い申し上げます。
要望理由
1.「豊田市中央図書館運営基本方針の3つの柱と7つの方針」を実現させるために指定管理者制度を導入すると説明されていますが、図書館が作成している説明資料からは、どうして指定管理者制度導入へと結論が導かれるのか理解できません。
現状の直営体制のどこに問題があるのか検証が不十分です。指定管理者制度導入のメリットとされている「司書率の向上」と「開館時間の延長」は、直営でも実現可能なことであり、逆にデメリットは豊田市の考えている対応策で解決できるものではありません。豊田市中央図書館運営基本方針に盛り込まれた図書館の位置づけや機能を発揮できる体制作りの実現は、直営を維持してこそ具体化できます。
2.豊田市中央図書館への指定管理者制度導入についての議会での論議は不十分であり、指定管理者を7月から募集することは拙速です。地方自治法第244条の2第3項「普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの(以下本条及び第二百四十四条の四において「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができる。」とあります。しかし「豊田市中央図書館サービス向上計画書」からは設置の目的を効果的に達成するという根拠が読み取れませんし、膨大な計画書そのものがどれだけ検討、討議されたのか、疑問を感じています。また、議会での条例改正の議決を経ていない段階での指定管理者の募集は、明らかに議会軽視であり、法令違反です。
3. 指定管理者制度導入について検討する以前に、豊田市全体の施策の中に図書館をどう位置づけているのか十分検討されていません。学校、ネットワーク館、豊田市の他の部署との連携を含め、知の拠点として図書館がどうあるべきかを行政計画全体の中で考えることが先決です。
4. 図書館は市民の財産です。運営形態を変える計画について、市民への説明責任を果たされていないのは問題です。図書館協議会の場でも委員から不安や疑問の声があがっています。その事実を無視して、指定管理者制度導入を推し進めることは市民の声を聞いていないのと同じです。
5.指定管理者の選定の流れに不透明さを感じます。豊田市は「豊田市中央図書館サービス向上計画」策定業務を図書館総合研究所に委託しましたが、図書館総合研究所は図書館流通センターの子会社であり、報告書は図書館流通センターの手法を具体的に提案しています。一つの企業に有利な流れが出来つつあります。また「他市での実績があるから安心」ということは安直な判断であり、他市では期待された効果があがっていない事例も多くあります。私たちはどの企業であろうと、十分な審議を経ない拙速な指定管理者制度導入は反対です。
以上
連絡先
豊田市の図書館を考える市民の会
代表 杉本はるみ(住所等省略)
図書館友の会全国連絡会
事務局長 船橋佳子(住所等省略)
※個人情報保護の観点より事務局の連絡先はホームページでは非公開とさせていただきます。お問い合せは図友連へのお問い合せ メールフォームよりお願いいたします。