【2024/9/10】公立図書館の充実を求める要望書(文部科学省宛)への回答(面談報告書)

日時 :2024年5月29日(水)15:30~17:20
場所 :文部科学省会議室
面談者:
<文部科学省>
総合教育政策局 地域学習推進課
図書館・学校図書館振興室 室長:小沢
図書館・学校図書館振興室 専門官:毛利
図書館・学校図書館振興室 図書館振興係 係長:小薗
総合教育政策局 男女共同参画共生社会学習・安全課
障害者学習支援推進室 室長補佐:五十嵐    (敬称略)

<図友連> 11名

<文科省>要望を6点いただいておりますので、1つ目から回答させていただきます。1つ目のご要望は、「図書館の「望ましい基準」に基づいて全国の自治体及び教育委員会に、図書館サービスその他の運営及び行政に必要な知識・経験とともに、司書となる資格を有する館長の任命に努めなければならないことを周知してください」、とのことですが、公立図書館長の任命につきましては、図書館の設置者である地方自治体において、地域の実情を踏まえてご判断いただくものと考えます。文部科学省としては、新任図書館長研修等を通じて、館長の資質の向上を図るとともに、「望ましい基準」の趣旨等について、周知を図ってまいりたいと思っています。

2つ目は「「望ましい基準」に基づいて、全国の自治体及び教育委員会に、自治体設置の図書館は、専門的なサービスを実施するために必要な数の司書及び司書補を確保するための積極的な採用及び処遇改善に努めなければならないことを周知してください」、とのことですが、「望ましい基準」において、「必要な数の司書及び司書補を確保するよう、その積極的な採用及び処遇改善に努める」と示されているところです。令和5年3月に閣議決定いたしました、「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」においても、「都道府県及び市町村は、司書および司書補の適切な配置に引き続き努める」ということが示されております。文部科学省においては通知や各種研修等を通じて本計画の趣旨の周知を図っているところでございます。司書および司書補の採用につきましては、設置者である地方自治体において地域の実情を踏まえて適切にご判断いただくものではございますが、文部科学省としましては、「望ましい基準」や司書の専門性、またその役割の重要性につきまして、地方自治体に対する各種機会、研修や会議を通じて周知を図ってまいります。

3つ目は、「自治体設置の図書館にある地域資料や歴史文化資料のデジタル化とその公開を国立国会図書館と連携しながら促進することについて、「望ましい基準」を示してください」との御要望についてですが、「望ましい基準」では、図書館は「資料や情報の相互利用などの他の施設・団体等との協力を積極的に推進するよう努めるものとする」という規定がございまして、これらの実施にあたっては図書館双方の連携のみならず、国立国会図書館等との連携にも努めるものとするとされているところでございます。また、「望ましい基準」において、市町村立図書館は「郷土資料及び地方行政資料の電子化」に努めることとするということも定められているところでございます。現状、文部科学省では委託調査により「電子図書館・電子書籍と子供の読書活動推進に関する実態調査」を、2年に1回実施しております。例えば、岡山県立図書館の「デジタル岡山大百科」など、地域資料のデジタル化に係り、各自治体の取り組みのご参考になるような事例を収集、紹介しております。また、文部科学省以外でも国ではジャパンサーチという、幅広い分野のデジタルアーカイブと連携をしまして、多様なコンテンツをまとめて検索閲覧等ができるプラットフォームの整備等について、国立国会図書館が取組を進めていると聞いております。文部科学省としましては図書館のデジタル化に関する状況等について、引き続き実態把握を行いまして、こういった先進事例の共有等を通じて、取り組みの促進が図られるよう支援してまいりたいと思います。

4つ目、「自治体設置の図書館に視覚障害者の読書環境の整備の推進に関する法律、読書バリアフリー法の目的にかなう法律について、施策を促進することについて、「望ましい基準」を示してください」との御要望についてですが、読書バリアフリー法においては、視覚障害者等が利用しやすい資料の充実や、円滑な、利用のための支援の充実について、必要な施策を講じること、また施策の一層の充実を図るために文部科学大臣および厚生労働大臣が共同で「読書バリアフリー基本計画」を令和2年7月に策定したところでございます。この「読書バリアフリー基本計画」につきましては、これまでの図書館における実施状況や視覚障害者等の利用に関する課題や、現状を踏まえて、令和6年度に次期のバリアフリー基本計画として見直しを行う予定です。「望ましい基準」においても、障害者等、特に配慮を必要とする方が、図書館施設を円滑に利用できるよう、拡大読書器等資料の利用に必要な機器の整備や、点字等による表示の充実等に努めるとしております。
今後、関係者の意見を賜りながら、「読書バリアフリー基本計画」の見直し等を踏まえた見直しも検討してまいります。十分な財政措置についてもご要望をいただいておりますが、図書館に対しましては、資料購入費等の地方財政措置が行われております。文部科学省では令和6年度予算において、「図書館における障害者利用の促進」という事業を引き続き実施しておりますところで、内容としましては、例えば、司書の方等、皆様が障害者サービスの内容をご理解いただく取組、支援方法を習得するための取組、読書支援機器の使用方法を習熟するための研修を実施するもの、また、1館1館の持っている資源には限りはあるのですけれども、読書バリアフリーコンソーシアムとしまして、人的・物的資源を共有できるようなコンソーシアムを設置するモデル事業を実施し、人的・物的交流を活性化させる取り組みも進めているところでございますので、これらの取組を引き続き進めてまいりたいと存じます。

自治体における読書バリアフリー計画の策定の促進ということで、自治体における計画策定につきましては、文科省では毎年度、調査を行っております。最新の調査結果は文部科学省のホームページの方にて公表しております。昨年、皆様と意見交換させていただいた時には、令和5年2月時点での調査結果を紹介させていただきましたが、現在公表しているのはその1年後の令和6年2月1日現在の調査結果となります。その最新の調査結果を見ると確かに少しずつ進捗が見られておりまして、例えば都道府県レベルでは、昨年度は「策定する予定なし(未定も含む)」というところが5県ありましたが、今回の調査ではそれがゼロになりました。都道府県レベルでは、計画策定を検討もしくは計画の策定作業に入っているということで、もう既に策定済みのところも含めてですが、全ての都道府県で何かしらの動きがあるということになります。課題としては、指定都市や中核市、さらにその下の小規模自治体をどうするのかというところであり、文科省の調査では指定都市と中核市の状況を調査しておりますが、未だに全体の33%が「策定する予定なし(未定含む)」と回答しておりまして、これは我々も何か策を講じたいと考えており、未策定自治体に対する働きかけというものは必要であると考えているところです。現在の文部科学省の取り組みといたしましては、昨年6月に、日本図書館協会の障害者サービス委員会が策定いたしました指針がありまして、この指針を自治体に周知し、計画策定の後押しを行っているところです。さらに今年度は、全国地域ブロックで開催予定のコンファレンスにて、読書バリアフリーの重要性、必要性というものをしっかりと伝えていくとともに、都道府県の担当者が出席される会議や行政説明などの様々な機会を通じて、読書バリアフリーの重要性・必要性について普及啓発を行ってまいりたいと考えているところです。

続きまして5つ目のところで、「図書館雇用の職員の多くが会計年度任用職員であるか指定管理を受託した企業、団体の職員で、その多くは低賃金です。同一労働、同一賃金になるように働きかけ、職務給導入を図ってください」というご要望をいただいています。地方公務員である図書館の非正規職員の雇用や賃金の条件等については、設置者である地方自治体において地域の実情を踏まえて適切にご判断いただくものと考えておるところではございますが、会計年度任用職員につきましては、総務省の自治行政局公務員部長通知というものが令和5年12月27日に出されておりまして、会計年度任用職員制度の適正な運用等についてという通知が出されているところでございます。会計年度任用職員の給与水準の決定については、引き続き地方公務員法に定める職務給の原則や均衡の原則等の給与決定原則にのっとり、当該会計年度任用職員の職務と類似する職務に従事する常勤職員の属する職務の号級、給料月額を基礎としつつ、職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、技術および職務経験等を考慮するとともに、地域の民間企業における同一または技能職種の労働者の給与水準の状況等も十分に留意しつつ、地域の実情等を踏まえ適切に決定する必要があるということが通知されているところでございますので、文部科学省においても会計年度任用職員制度の運用について、各自治体において総務省通知の趣旨が、周知されるように研修会議等を通じて、こちらも周知を図ってまいりたいと思います。

6つ目でございます。ご要望は、「公立図書館の運営は利潤追求を背景とした民間ノウハウが発揮しにくい特質を持っており、令和3年度社会教育統計では、指定管理者制度導入の割合は2割程度と公民館に次いで相対的に低い状況です。導入にあたっては住民による反対の声が上がるなど、社会教育施設の中でも指定管理者制度の導入がなじまないと評価できるのではないでしょうか。このことについて分析し結果を周知してください」とのことですが、指定管理者制度につきましては、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときに活用できる制度でありまして、個々の施設に対し、指定管理者制度を導入するかしないかを含め、幅広く地方公共団体の自主性に委ねる制度となっておりますところ、公立図書館における指定管理者制度の導入についても、設置者である地方公共団体において適切に判断されるべきものというところでございます。また地方公共団体は指定管理者による管理が適切に行われ、多様化する住民ニーズへの効果的、効率的な対応に寄与しているか定期的に検証し、制度の適切な運営に努めることが求められていると認識しております。図書館に関しましては、「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」の中で、図書館の管理を他の者に行わせる場合に、事業者と連携して、事業の安定的な実施の確保や水準の維持、向上等に努めることなどを規定しているところでございます。こちらも文部科学省としましては、同基準を踏まえ、図書館が適切に運営されるよう、地方公共団体の図書館関係者が集まる研修等において周知に努めてまいりたいと考えております。

その後要望内容について様々な意見交換を行いました。

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