平成28年6月16日
豊田市長 太田 稔彦 様
豊田市教育長 福嶋 兼光 様
豊田市の図書館を考える市民の会
代表 杉本 はるみ
図書館友の会全国連絡会
代表 福富 洋一郎
豊田市中央図書館への指定管理者制度導入計画の凍結・再検討を求める要望書
平素よりの市政へのご尽力につきまして、改めて敬意を表します。
「豊田市の図書館を考える市民の会」は豊田市中央図書館が市の責任において運営され、真に市民のための図書館であることを願う市民の会です。また「図書館友の会全国連絡会」は、公立図書館の充実と発展を求めて活動している全国組織です。
私たちはこれまで講演会や他の図書館の視察を通して指定管理者制度について学習し、意見交換をしてまいりました。その結果、指定管理者制度を拙速に導入することがこの先の豊田市の行政に大きな禍根を残すのではと危惧しています。
私たちは下記の理由により平成29年度からの豊田市中央図書館への指定管理者制度導入計画を凍結し、市民を交えて再検討することを強く要望します。
つきましては、提出しましたこの要望書について、早急にご検討いただきその結果をご連絡くださるようお願い申し上げます。また広く市民に向けた説明の実施についても、ご検討いただきますよう、併せてお願い申し上げます。
要望理由
1.「豊田市中央図書館運営基本方針の3つの柱と7つの方針」を実現させるために指定管理者制度を導入すると説明されていますが、図書館が作成している説明資料からは、どうして指定管理者制度導入へと結論が導かれるのか理解できません。
現状の直営体制のどこに問題があるのか検証が不十分です。指定管理者制度導入のメリットとされている「司書率の向上」と「開館時間の延長」は、直営でも実現可能なことであり、逆にデメリットは豊田市の考えている対応策で解決できるものではありません。豊田市中央図書館運営基本方針に盛り込まれた図書館の位置づけや機能を発揮できる体制作りの実現は、直営を維持してこそ具体化できます。
2.豊田市中央図書館への指定管理者制度導入についての議会での論議は不十分であり、指定管理者を7月から募集することは拙速です。地方自治法第244条の2第3項「普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの(以下本条及び第二百四十四条の四において「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができる。」とあります。しかし「豊田市中央図書館サービス向上計画書」からは設置の目的を効果的に達成するという根拠が読み取れませんし、膨大な計画書そのものがどれだけ検討、討議されたのか、疑問を感じています。また、議会での条例改正の議決を経ていない段階での指定管理者の募集は、明らかに議会軽視であり、法令違反です。
3. 指定管理者制度導入について検討する以前に、豊田市全体の施策の中に図書館をどう位置づけているのか十分検討されていません。学校、ネットワーク館、豊田市の他の部署との連携を含め、知の拠点として図書館がどうあるべきかを行政計画全体の中で考えることが先決です。
4. 図書館は市民の財産です。運営形態を変える計画について、市民への説明責任を果たされていないのは問題です。図書館協議会の場でも委員から不安や疑問の声があがっています。その事実を無視して、指定管理者制度導入を推し進めることは市民の声を聞いていないのと同じです。
5.指定管理者の選定の流れに不透明さを感じます。豊田市は「豊田市中央図書館サービス向上計画」策定業務を図書館総合研究所に委託しましたが、図書館総合研究所は図書館流通センターの子会社であり、報告書は図書館流通センターの手法を具体的に提案しています。一つの企業に有利な流れが出来つつあります。また「他市での実績があるから安心」ということは安直な判断であり、他市では期待された効果があがっていない事例も多くあります。私たちはどの企業であろうと、十分な審議を経ない拙速な指定管理者制度導入は反対です。
以上
連絡先
豊田市の図書館を考える市民の会
代表 杉本はるみ(住所等省略)
図書館友の会全国連絡会
事務局長 船橋佳子(住所等省略)
※個人情報保護の観点より事務局の連絡先はホームページでは非公開とさせていただきます。お問い合せは図友連へのお問い合せ メールフォームよりお願いいたします。