平成26年7月28日
釧路市教育委員長 北明正紘 様
釧路市の新図書館整備の検討に関する陳情書
図書館友の会全国連絡会
代表 福富洋一郎
私たち「図書館友の会全国連絡会」(以下、図友連という)は、公共図書館の充実と発展を求めて活動している図書館友の会の全国組織です。私たちは図書館のあるべき姿として、2009年に「私たちの図書館宣言」を発表し、公立図書館の振興・発展のための活動を行ってきました。
釧路市では、平成21年12月に「釧路市図書館基本計画」(平成22年~平成31年度)を策定し、市立釧路図書館の改修、改築等、将来に向けてさまざまな方策を市民とともに検討してこられたと承知しています。ところが本年2月17日に、蛯名市長が突然、老朽化している市立釧路図書館を、中心市街地(北大通地区)に北海道銀行グループが建設中の「新釧路道銀ビル(仮称)」の中高層階を増築して入居すると記者発表しました。その後「新図書館整備市民検討委員会」を開催し鋭意審議していますが、ホームページを拝見しても、釧路市が目指す公立図書館のあり方が良くわかりません。北海道内だけでなく、全国の図書館関係者が釧路市の検討状況を心配しております。
そこで、現在市民検討委員会で検討中ですので、下記の2点に絞って陳情申しあげます。教育委員長のお考えを、出来るだけ早くご回答いただけると幸甚です。
記
1.市民への情報開示・情報共有を徹底すること
2月17日に市長が新聞社に発表した「新釧路道銀ビルに入居する方針」は、単独で新規建設するよりコスト削減できるとともに、中心市街地のにぎわい再生につながると判断されたと報道されていますが、公立図書館と銀行店舗が同一ビルに併設されるのは、全国でも大変珍しい事例です。聞くところでは、市長は、市議会にも付議せず、市民に対する説明も無いだけでなく、教育委員会にも事前に十分な説明がないまま記者発表されたとのことです。
このような場合、市民は市長の考えた方針の詳細を、出来るだけ早く知る権利・自由を持っていると思います。しかし、市民検討委員会を市民は傍聴できません。ホームページで公開すると言っても時間的に遅れるとともに、発言内容、ニュアンスを直接知ることが出来ません。
釧路市の公立図書館を今後どのように変えるかは市民にとって関心の深い内容です。市民と行政とが協働で理想の図書館建設を進めるためには、情報の共有と互いの信頼感の醸成が不可欠だと思います。折角の市民検討委員会が市民の傍聴を認めないのは、委員会自身の決定のようですが、教育委員長としては委員会に対し、自治基本条例の審議と同様に委員会の市民傍聴の方針を独自に出すか、委員会の審議とは別に、市民に対して「新釧路道銀ビルに入居する方針」に関する教育委員会内の情報を開示し、教育委員長としての説明責任を果たすよう陳情いたします。
2.「釧路市図書館基本計画」の改正案を市民参加により早期に策定すること
「図書館は文化のバロメーター」と言われており、憲法第26条第1項に「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」とあります。平成21年12月に策定した「釧路市図書館基本計画」が、今回の市長方針により抜本的な見直しが必要になったと考えます。予算・財源問題も含め、市民の「大事なライフライン」であり社会教育機関である公立図書館のあり方を検討することは、釧路市民にとって重要かつ喫緊の課題の一つだと思います。
釧路市民にとって「知の拠点」である図書館の振興・発展のために、早急に図書館のミッションを議論し「釧路市図書館基本計画」の改正案を策定するため、図書館協議会を再設置する等オープンに議論し市民参加できる場を設置するよう陳情します。市長が教育委員会、議会、市民の意見を求める手続きを行う前に方針を決定し、検討委員会はこの方針を前提として、詳細な実行案を作成しているのは問題ではないでしょうか。社会教育機関である図書館に関し、市長から独立した権限を持つ教育委員長の役割は大切だと考えます。
以上
・釧路市の新図書館整備の検討に関する陳情書(釧路市教育委員長宛・PDF)