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【2019/4/26】文部科学省総合教育政策局地域学習推進課面談記録

日時:2019年4月26日(金)10:00~11:55

場所:中央合同庁舎7号館 文部科学省総合教育政策局 会議室

面談者:

  • 文部科学省 総合教育政策局 地域学習推進課 図書館・学校図書館振興室 室長補佐 荒木正寛氏
  • 文部科学省 総合教育政策局 地域学習推進課 法規係 係長 海老洋太氏
  • 図友連: 7名

図友連:先日提出した要望書に内閣府からは回答書をいただいたが文科省からは回答をいただいていない。今日は文科省の見解(お考え)をお聞きしたい。まず、お渡した資料を確認したい。

  1. 3月25日に提出した要望書
  2. 4月8日付け内閣府からの回答書
  3. 4月12日の面談記録
  4. 政令指定都市・特別区の図書館についての統計資料
  5. 長所管図書館のデータ(A3版)

図友連で記録をとり、文書にした後内容を確認していただいてから発表することについての確認を取りたい。(了承された)

図友連出席者の自己紹介をする。(略)

図友連:図友連の紹介(全国で図書館を応援する活動をしている団体、個人の会員で構成されている)

「私たちの図書館宣言」の紹介をしたい。3月25日付けの要望書を確認したい。第1点目については、4月12日の内閣府との面談で、詳細については文科省に問い合わせて欲しいという回答を得た。今回上程されている一括法案には、「特例措置」であるとの説明がなく、安易な移管が行われる惧れがあると考えている。第2点目については、図書館法(第8条、第13条1項、第15条)の改定は唐突にでてきた感がある。なぜこの改定案がでてきたのか?第3点目については、図書館は教育機関なので首長部局から独立した教育委員会で管理運営すべきと考える。どういう理由で教育委員会から外すということが可能とされるのか?

図友連:図書館について一括法案で上程されているが、文科省は図書館をどのように位置づけているかお尋ねしたい。

文科省:今年度から新たに文科省に図書館・学校図書館振興室を設置している。このことは、図書館を国として重要な社会教育施設として捉えている現れと理解していただきたい。

文科省:今回の改正案は社会教育施設の所管に関する特例としての位置付け。地方公共団体で、社会教育施設の首長部局への移管を可能とする改正案。ただし、所管が変わっても社会教育施設として法(図書館は図書館法)に基づく適切な管理運営をするということについては変わりが無い。

以上がいただいた要望書の第3点と第1点の前半への回答となると考える。

今回の改正案の中で、教育委員会の関与に係る担保措置は以下の3つである。

  1. 首長の所管する社会教育施設の「管理運営規則」の制定の際は、必ず教育委員会と協議をする。
  2. 首長が所管する社会教育施設の事務のうち、教育委員会の所管する学校、社会教育施設等における教育活動と密接な関連を有するものとして、規則で定めるものの実施に当たっては、首長は、教育委員会の意見を聞く。
  3. 教育委員会は、その職務に関して必要と認める場合は、社会教育施設に関する事務について首長に意見陳述することができる。

図友連:教育委員会は意見陳述できるとされているが、必ず意見が聞き入れられるという保証はないのでは?

文科省:最終的な決定権は社会教育施設を所管する首長部局にある。

図友連:意見陳述をすると、それは実際上ほぼ、例えば95%以上認められると理解して良いのか?行政の仕組みがよくわからないので教えて欲しい。

文科省:学校教育も社会教育も引き続き教育委員会が担当するので、首長と教育委員会という執行機関同士が密にコミュニケーションをとって管理運営することが重要であると考えている。

図友連:担保として意見陳述するシステムがあるというが何ら担保とはなり得ない、担保となってはいないと思う。

図友連:図書館法の理念が変わってしまう懸念があるから特例とされたのではと理解する。であるなら、担当省の役割としては、改定案には図書館法の理念が損なわれないような担保がされるべきではないか?

文科省:改正案については昨年来中教審等で十分な議論がなされた。中教審答申にも「社会教育施設であることに変わりはない」とある。その上で地方公共団体がまちづくり、観光など他の行政分野の事業と一体的な推進を図るために効果的と判断する場合に、移管が可能だということで法律案を作成した。

図友連:図書館法はナショナルミニマムとして存在している。それを地方分権ということで各地方自治体に任せてしまうと、現在でもある地域間格差を助長することになりはしないか?

昨年の中教審のワーキンググループ(WG)では補助執行で首長部局に移管されている社会教育施設のうち博物館については議論されたようだが図書館についてはほとんど議論されなかったときいている。

2014年当時の中教審では首長部局に移管する際は法的担保をしなくてはならない、担保措置が重要だと語られた。司書が教育公務員となっていない中、特例として首長部局に移管して地方分権だからそれぞれしっかりやりなさい、とすることは危険だと思われないですか?

文科省:改正案では、担保措置として前述の3点を設けている。また、教育機関としての位置づけは変わらない。

図友連:現在「補助執行」で首長部局に移管されている図書館の運営についての実態調査をし、運営が酷いものを是正するために法律の整備をするというなら理解できるが、そうなっていないと思う。

図友連:「人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について」(答申)には

社会教育行政における政治的中立性の確保はとても大事である、だから一定の担保措置を講ずることを条件とした。懸念として行政的な視点が優先されて学習に関する住民の自主性、自発性が阻害されることのないように地域住民の意向の反映に留意すること。社会教育施設の所管については今後も教育委員会を基本にする。と明記されている。それではなぜ今回の改定案がだされたのか?

また首長部局への移管がなされるとなったとき、全国の教育委員会にどのようなことに留意するようにと発信する予定はあるのか?

文科省:社会教育全体の事務は教育委員会が所管する。一方、地方公共団体からの要望もあり、特例として社会教育施設の所管を首長に移管することができるということであり、無条件に移してよいということではない。

図友連:首長部局移管についての地方から要望は、名張市以外にはどこからあるのか?

文科省:平成26年に群馬県と九州地方知事会から要望を受けている。

図友連:しかし全国から多くの要望があるとは言えず、ほんの一地域からの要望ではないか

図友連:昨年の中教審、ワーキンググループの会議を傍聴したが、メンバーのお一人が、教育委員会の中立性をどのように担保するのかが議論されていたときに、市長(首長)は住民の支持を受けているので、首長の権限は大きい、と発言された。教育委員会が意見陳述をしても、選挙で選ばれた市長(首長)だからと退けられる可能性がおおいにあることが見えたから危惧している。

畑野議員が国会の委員会での文科大臣との質疑の中で担保措置は法的な拘束はないので担保とは言えないと結論づけられた。これは誰もがそう思っている、このことについてはどうお考えですか?

文科省:今、国民の皆さまの図書館への期待はとても大きい、図書館への期待があるからこそ所管が移って以降も他の部局と一体的にやることで地域を盛り上げるという良い側面もあるのではないか。今回の法律案はその選択肢を増やした。

今回の法案が成立した後、各自治体に「施行通知」が流れる、その中に法律に述べられない細

かなことを書き込むことができる。その中に皆さんが懸念されていることを盛り込むことが考えられる。首長部局に移ったからといって一方的に悪くなるのではなく良くなる側面もあると思うし、移管されたらだめになるとは一概に言えない。武雄図書館、シリウス、多賀城になどについてはそれぞれのお考えがあるかと思うが、以上が現時点での私の思いです。

図友連:現在補助執行されている自治体の数や内容を文科省に訊ねても、正確な情報がでてこない。また点検作業も行っておられないということなので、実態を調査しようと取りかかっている。

補助執行より今回の法律の方が良いだろうとおっしゃるが、では補助執行の実態を文科省はどれだけ把握されているのか?メリット、デメリットについて調査をした上で今回の法律改定に臨まれているのであれば説得力があると言えるが、それはされていない。

施行通知、留意事項を出す前に実態調査をしてください。

図友連: この法改正では教育委員会に意見陳述の機会という担保措置があるということだが、教育委員会が変質しはじめていると感じているので、任せて大丈夫という確信が持てない。文科省は補助執行している現状を把握し、首長が所管したときにどういう事態になるか想定した上で考えて欲しい。

図友連:総合教育会議が始まってまだ4年程度。そこでこそ連携をとって教育を進めていくことを話し合うべきと考える。また、移管のメリットとしてスピーディに事業が進められるというが、移管しなくても全国の自治体で図書館がまちづくりの要として他の部署と連携して先進的な取り組みをしているところがいくつもある。特例措置として移管しなくてもやろうと思えばできる。文科省の本筋はそこを応援することではないか。

図友連:まちづくりのためにやりたいというが、図書館はとても人気のある施設だから首長部局に欲しい、首長の手元に人気のあるものをおきたいということではないか。図書館の本質がゆがめられていくことに危機感を感じる。文科省は図書館の本質は変わらないと言いながら法を守り切れていない。法に基づいてしっかりとやって欲しい。

図友連:古い事例だが、2002年、鎌倉市で図書館を含む生涯学習部が補助執行によって教育委員会から首長部局へ移管するという問題が起こったとき、住民として反対の立場で声を上げた。市議会に上程されたが、文科省からの指導があり条例改定案は取り下げられた。当時の文科省は図書館はそういうところではない、と気概を持って対処された。今回はなぜこのような改定案を上程されたのか?

わたしたちはずっと図書館を、教育文化機関を応援している。主管庁である文科省を応援していきたいと考えている。令和の時代の図書館に向けて文科省に力を発揮していただきたい、そのために応援していきたいと強く思っている。ところが最初に挫けてしまわれるととても困る。

図友連:これまでは、歴史のある日本図書館協会や図書館問題研究会などの団体と文科省は図書館について友好的に意見交歓をする関係だった。しかしここ数年その関係が崩れているのではないかと思う。文科省とこれらの会が連携して図書館をよくする活動をするべきだと考える。

図友連:補助執行の実態をつかむことと同時に直営で素晴らしい活動をしている図書館(伊万里市、調布市、鳥取県・・・)が、どういう風に地域とのつながりで活動を展開しているのかを把握していただき、内閣府などに進言してほしい。

現状頑張っている図書館を応援していただきたい。地方からの要望があって法律改定案を上程したということだが、じつは移管しなくてもできる例があります、と示して宣伝して欲しい。

図友連:補助執行している図書館のうち指定管理になっている図書館の割合が大変に高い。これは問題だと思う。

文科省:ここまでにいただいたご意見についていくつかお尋ねしたい。まず、川崎のことについて。昔に比べて川崎がとても綺麗になったと感じるがそれは市長の功績なのですか?まちづくりを重視した結果はいかがですか?

図友連:市庁舎付近がとても綺麗になり人通りが絶えないが、中教審でも言われている「人と人とのつながりを大事にする」ことにつながっているのかについては疑問です。

平成のはじめ頃、川崎市は中央図書館構想を持っていた。中央館をはじめ地区館、分館を配置し、ブックモビルも走らせ図書館のサービスを受けられない人をなくそうというものだった。それが川崎市を綺麗にしようという方向になって以降消えてしまった。なぜ無くなったのか正確なところはわからないが、綺麗になった時期と構想が立ち消えになった時期とが符合する。

図書館はだれでもが歩いて行ける生活に根ざした施設である。賑わいを演出するシリウスのような図書館ではそれはできていない。

文科省:弊害もあったということですね。

福富さんがここ数年図友連、日本図書館協会などの団体とのコミュニケーションが十分でないと言われたが、私個人としては呼んでいただければどこへでも出向いていくつもりです。社会教育の世界はフェイストゥフェイスなので結論がでなくても議論するプロセスが大事だと考えている。呼んでください。

保土田さんのお話で鳥取や伊万里などの素晴らしい図書館について触れられたが、2020年のオリンピックいやーに向けては*2現在検討されている、いわゆる読書バリアフリー法の制定や、図書館法が制定されて70周年にあたるなど、図書館界にとって重要な1、2年になってくる。仮の話だが、図書館を盛り上げるための全国フォーラムを開くなどして、鳥取や伊万里の好事例を全国的に知ってもらうといったことが文科省の取組として考えられるのではないかと思っている。

図友連:今回の法改定で図書館の本質が崩れていくきっかけになることを危惧している。原理原則は守るようにと焦点をあてて発信してもらいたい。

図友連:内閣府との面談の中で、この法律案の取り扱いは今後どうなるのですか?とお尋ねしたところ、条文修正もあり得ます。附帯決議もあります。と言われました。上程されてしまったから、今後はそのような方法をとるしかないのかと考えているが、今後のことについて

文科省の見解をお尋ねします。例えば一括法案から図書館は削るという修正はありますか?

文科省:国会の審議を経て条文修正や附帯決議が行われるなどの可能性はある。

図友連:地方分権一括法の中に図書館法改定が盛り込まれると図書館について全く審議されずに通ってしまう可能性がある。

文科省に議員の方たちから質問があったときの説明の際には私たちの声を反映させる形で説明していただくことをお願いしたい。

図友連:冒頭、法案の担保として教育長が意見具申できるとのことだが、教育長は議会を経て首長に任命権限がある。首長に任命される教育長からの助言はどれほど効力があるか疑問である。法の改定後、図書館法の考えをストレートに首長に伝え指示するべきと考える。

文科省:教育委員会としての意見を聞くことになっているので、教育長一人の意見ではない。所管を首長とする場合には、そのための条例を定める必要がある。また条例を定める際には議会が教育委員会から意見を聴取すると定められている。

図友連:特記事項として毎年の決算カードの裏面に記載されますか?

文科省:各自治体によって異なると思われるので一概には言えない。

図友連:荒木さんがおられた福島には、図書館法に依拠しない図書館を住民が30年運動をして漸く図書館法による図書館になったところがある。その図書館法がこのような形で変えられてしまうのか?と疑問を持っている。

また、東北大震災後の2012年5月、図友連が開催した院内集会で、気仙沼の教育長さんのお話を伺った。震災直後の人びとは生きることだけで精一杯だが、一週間もたつと避難所に届けられた図書館の本が、苦難を乗り越えたり、将来の希望をもつために大いに役だった、災害の時にこそ図書館は大切なのだとわかったと話された。

図書館の持つ本来的な存在意義について今一度図書館法をお読みいただいて今後の修正に全力を傾けていただきたい。

図友連:図書館が首長部局に移管されたとき、政策に反対するような本が図書館から排除されることになるのではないかと危惧する。おかしな首長ばかりではないと思うが、首長によっては恣意的な運営となる惧れがある。

図友連:図書館の基本を押さえて自治体がしっかり運営することは他部局と密接な連携をとることにつながりそれはまちづくりの核となりうる。移管することで得られるとされるメリットは後付けの理由、為にするものと思える。移管する選択肢を用意する意味がわからない。

図友連:選択肢を準備するより、ナショナルミニマムとして図書館は首長部局に変えない、という姿勢が必要ではないか。

図友連:法案が通ると歴史の転換点となってしまう。

 

ここで次の予定のために終了となった。

文科省:関係の図書館団体との意見交換は我々にとって貴重な機会です。呼んでいただけたらいつでもみなさんの会合に伺わせていただきます。

今日のご意見について全て反映させる確約はできないが今後なんらかの形で議論の場に載せていきたいと思っている。図書館法制定70周年に向けてなど、今後も意見交換させていただきたい。

図友連:よろしくお願いします。

>> 【2019/4/26】文部科学省総合教育政策局地域学習推進課面談記録(PDF)

 

【2019/4/12】内閣府地方分権改革推進室との面談報告

日時:4月12日(金)10:00~11:10

場所:中央合同庁舎4号館8階、内閣府地方分権改革推進室の会議室

面談者

内閣府:内閣府地方分権改革推進室 参事官補佐 成相寿一氏     内閣府地方分権改革推進室 林田直樹氏、他に担当者1人が同席

図友連: 5名

図友連:要望書の回答ありがとうございました。図友連の紹介をします(略)。(「私たちの図書館宣言」パンフと『図書館のめざすもの(新版)』(竹内氏編訳、日本図書館協会2014年10月発行)を贈呈。

現在首長部局に移管されている図書館は全国に何カ所もあるが、内閣府としては全国の公共図書館のうちどれくらい移管されているかご存知ですか?

内閣府:存じ上げない。

図友連:補助執行(地方自治法180条の7)で首長部局に移管されている図書館があるのに、なぜ法律改正をする必要があるのか?また、補助執行で首長部局に移管された図書館ではいろいろと問題がでてきている。地方分権改革推進室ではどのような調査をして、どのような理由で今回の法律改正の上程となったのか。

内閣府:(地方分権改革の取り組みを紹介)自治体が活動する上で法律・政令等の国の制度が縛りとなって自由な発想で住民サービス向上のための活動がしづらい場合に、制度を変えて欲しいという提案を受け付けて、担当省庁と議論しながらどういった形であれば解決できるか議論し、必要に応じて制度改正をしている。これを「提案募集方式」といい、地方分権改革を進めている。

地方自治体から、社会教育施設(図書館、博物館、公民館等)を首長部局に移管したい場合にのみ選択的に移管できるような制度にして欲しいという提案を受けている。

その背景は、社会教育施設が社会教育の実践の場であることは前提としつつ、人口減少社会、少子高齢化社会の中で、さまざまなニーズが生じていて、例えば、まちづくりの核となり魅力を発信するような施設としての位置づけや、図書館では地域の課題の解決の場、総合拠点としてのニーズが高まっている。

図書館を補助執行で首長部局が部分的に事務を行う例もあるが最終的には所管する教育委員会が意思決定することになるためスピーディ・機動的に意思決定ができないといったデメリットがあると聞いており、より機動的・一体的に施策が展開できるような形にならないかということで提案があった。

提案が出され、地方分権改革有識者会議に置かれた提案募集検討専門部会での議論の後、文科省の中教審で改めて審議され、社会教育の適切な実施が確保されるための担保措置を設けた上であれば選択的な移管(選択肢を広げる)を可とすべき、との答申が出され、これを踏まえ文科省において検討し、一括法案として国会に提出した。

図友連:まちづくりのために図書館を使いたいと首長が考えたら図書館を首長が思うままに使えるになってしまうのではないかと危惧する。

図書館の中立性が失われてしまうのではないか?

図友連:「提案募集方式」で群馬県と名張市の提案を確認したが、提案の数は少ないように思う。困っている自治体の数は決して多くないのではないか?どのようなプロセスで今回の法律改正が進められることになったのか?補助執行で移管した舞鶴市の市民から、移管後、図書館予算が半減になったなど、課題・問題点が指摘されている。

内閣府:自治体からの提案で議論がスタートした。内閣府は地方自治体の声を所管省庁に伝え、そこで専門的な議論をいただくというプロセスをとる。制度所管省庁において専門的に議論して適当かどうか判断する。

中教審の議論では知事部局、民間団体、教育委員会など関係団体からのヒアリングが行われたと承知している。

提案が適当かどうかについて専門的な議論をいただいた上で今回の制度改正となった。

問題となっている舞鶴市の例では補助執行が教育委員会規則によるであれば議会を通さないのではないか。

今回の場合、移管するには条例を定めることが必要であり、その自治体で、移管する必要があるのかどうか議会での議論が必須となり民主的な議論がされることになる。

また、条例を議会に上程する際には議会は教育委員会の意見を聴かなくてはならない。このほかにも移管された場合の担保措置(教育委員会の関与)が中教審の議論を経て決められている。

図友連:地方議会では全ての議員が社会教育について詳しいわけではないので(十分な議論がされない場合もあった経験から)担保措置としての役割が果たせるのか不安である。

今の説明では担保措置によって慎重に議論すると、先ほど発言されたスピーディに意思決定ができないデメリットは払しょくされず、それなりに時間がかかるということになるはず。今回の提案はそのプロセスを省いて簡単にするためのものではないかと思う。

内閣府:教育委員会の関与なく首長ですべて決定することができると考えている自治体があるかどうかわからないが、今回制度改正を検討する中で絶対にそこは外せないところだと思っている。社会教育の実践の場であることは前提であるので、教育委員会の関与は必要となる。

首長がもしそれは困ると言ったとしても、政府としては仕組みをしっかりと守ってください、ということになる。

図友連:社会教育は大事だと大変に心強いお言葉だが、実は文科省から社会教育課が無くなっている。

地方自治体で図書館法や社会教育法の認識が低くなっている、そのような実態もぜひ認識しておいていただきたい。

図友連:文科省の審議は傍聴し報告も読んだ。文科省では「特別措置」という文言が総論に入っていたが、内閣府の総論には「特別措置」が抜けている。これは大切なポイントだ。

ところでこの法律は国会に提出されたのか?

内閣府:国会に提出したがまだ審議はされていない。「特別措置」に関しては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条において「職務権限の特例」として措置している。

図友連:国民の意見を十分に聴かないままで法律を上程したのは納得がいかない。日本図書館協会や図書館問題研究会など多くの市民団体からこの法律改正を懸念する意見表明がされている。なぜそういう意見をきかないのかとても残念だ。

内閣府:条文を作るに際しては文科省と一緒に作っている。

専門性をもった文科省にしっかりと専門的な議論してもらい、それをまとめていくところが内閣府。

いただいた指摘については文科省にも確認していただければと思う。

図友連:担保する要件、担保しなくてはならない項目にはどのようなものがあるのか検討されたのかが気になる。具体的に示さないと混乱する。

内閣府:現場が混乱しないよう、具体的にどういうところを自治体で決めなくてはならないかを明らかにする必要があると個人的には考えている。法律を施行するに当たっては所管する文科省が自治体に法律改正の内容について、留意しなくてはならないこと等説明されると思うが、どういう内容かについては改めて文科省に問い合わせて欲しい。

図友連:具体的な内容について説明責任を果たす必要がある。

内閣府:その通りだと思う。

図友連:図書館は資料を選定する行為をするところであるので、首長部局に移管されると弊害が起こるのではないかと心配している。

図友連:文科省での議論の中では図書館法第8条、13条1項、第15条の改正については取り上げられていなかった。要望書で改正は問題があると指摘をした。今回の一括法案になぜ入ったのか?

内閣府:文科省からでてきたもの。

社会教育全体の中でどう位置づけるかという議論の中からでてきたのではないかと思っている。

図友連:昭和32年に文部省が地教行法にある「教育機関」について示した文書がある。「専属の人的施設を備え、・・・みずからの意思をもって継続的に事業運営を行う機関」とあり、「資料の選定権は図書館長にある」と明確になっている。

資料の選定はイデオロギー的なものがあるので教育委員会という独立した行政委員会の中にあるからこそできる。長部局に移管されてしまったら図書館の精神が骨抜きにされてしまうのではないか?担保する内容はどういうことが考えられているのか気になっている。

図友連:これまで図書館法を含む「一括法」はたびたび出されていたが、図書館のことは議論されることはほとんどされてこなかったという実態にある。図書館の議論をさせないために一括法で上程されたのではないか?困ったことだ。

図友連:多くの意見が出されている中、突然3月8日に閣議決定されてしまった、というのが率直な感想である。図書館は社会教育(生涯学習)の中で大きな役割を果たしている。社会教育法と図書館法の改正が、一括法という形であっという間になされてしまうことは納得がいかない。

図友連:今後のことだが、これから文科省と話しあった結果、とり下げるということはできるのだろうか?

内閣府:いったん提出したものを取り下げるのはハードルが高い。

図友連:国会の場でいろいろな議員の方に質問していただくしかないのか?

内閣府:議論の結果として、国会で条文修正、附帯決議をつけるなどのことがありうる。

図友連:1999年の地方分権一括法の施行の後、2002年に鎌倉市では生涯学習部の首長部局移管が提案されが、それはゆゆしきことと文部省(当時)から鎌倉市に「指導」があり上程案が取り下げられたことがあった。

図書館法を変えるのであれば一括法で変えるのではなくきちんと広く国民に知らせて議論をしてからにするべきだと思う。

図友連:内閣府が現状を調査するとき、図書館についての情報提供は図友連に任せてください。内閣府でも図書館は優れた社会教育機関であるという認識を高めていただきたい。文科省と一緒に条文を作成したとのことなので、早速、文科省にも説明を求めたいと思います。

本日はどうもありがとうございました。

提供した資料

・長所管の図書館設置自治体の関係例規[41自治体の所管形態、関係例規名、所管部局名]

・長所管図書館のデータ

[図書館数、指定管理図書館数、職員数、資料数、貸出数、予算等の人口段階比較表]

・文部省「教育機関の解釈について」(昭和32年6月11日 初等中等教育局長回答)

>> 【2019/4/12】内閣府地方分権改革推進室との面談報告(PDF)