文部科学省 社会教育課・児童生徒課 面談報告書

日時 :2012年5月22日 午後12時10分〜12時35分
場所 :文部科学省 会議室 
面談者:文部科学省 生涯学習政策局 社会教育課 課長補佐 平川康弘氏
     初等中等教育局 児童生徒課 課長補佐(併)進路指導調査官 春山浩康氏
図友連:福富会長、以下会員5名
 

福富:高井文部科学副大臣との面談時間が15分ということでしたので、このような機会を設けていただきありがとうございます。今回は、要望書にもありますように、学校図書館と公共図書館の振興について、震災の復興について、国会図書館のデータベースの4点についての要望です。いつも窓口になっていただいてありがとうございます。
(賛同団体数などの説明)

毎年、文書での回答を、文科省にお願いしていますが、何年か前に1度、文書で回答をいただいたことがあります。昨年は笠大臣政務官と面談しましたが、結構時間があったので録音して、テープ起こしをして、それを見ていただいて、記録として残したということでした。こちらの希望としては、ぜひ文書での回答をいただきたい。総務省からは毎年、文書で回答をもらっています。議事録からというのもひとつの手ではありますが、文書回答をいただけないでしょうか。

平川:何年か前は文書でしたが、今はこのように口頭でということにしていただいています。昨年は録音からのものを笠大臣政務官にみていただきました。今回もテープを起こしていただいて、私が責任を持って高井副大臣ご本人に内容を確認していただこうと思っています。

福富:去年の方式にしてほしいということですか。

平川:はい。

福富:私は過去にこだわる方ですが、要は中身ですので、こちらでテープ起こしをすることにして、お手数ですがそれを確認するようお願いします。

平川:私にいただければ、責任を持って高井副大臣に見ていただいて、またお返しします。

会員:私たちは地方で発行している会報を、いつも市川様宛で届けていますが、届いていますか?

平川:届いています。図書館振興係宛で送っていただければ届きます。

福富:せっかく地方からメンバーが来ていますので、その声を聞いてほしいと思います。それについて何かさらに意見交換する必要があれば、時間をセットしますので、また在京組とか首都圏近くのメンバーでお話を伺いたい。

会員: 一番心配しているのがTSUTAYAさんと武雄市の問題です。一人のトップの方のキャラクターというのもあると思いますが、あれがまかり通ったら、と周りの市民たちがおびえています。ほとんどの人が自分の自治体にある図書館が、図書館と思っています。違うんだよと言ってもわからない。まして今回の武雄のように、開館時間は365日・9時から9時まで開く、本を借りるとTポイントがたまり文房具を買えるなどと言われたら図書館の本質とはかけ離れ、とても困るんです。先ほど高井副大臣に特にお願いしたのは、図書館の目的とか使命とかをきちんと各自治体に伝えてほしい。今度の武雄市の市長さんみたいに、読んだ本の履歴がプライバシーに関わるという、図書館の根幹さえ理解できていない首長が出てき、阻止できないとなれば問題です。

福富:武雄市の件については、私もその後フォローしているのですが、よそから見ていると、市長から聞いてはいないのですが、彼は彼なりにいろいろ考えているのだと思います。しかし、武雄市民の声を入れて検討がされていないようです。周りの市民は誰も知らない、というようなやり方が、誤解をお互いに生んでいるという感じがしています。

平川:これは、ネットとかで色々拝見しているのですが、市長さんは先ほど福富さんがおっしゃったように色々やりたいと思っていらっしゃるのでしょうが、そこがなかなか職員の方を含めて、市民の側に伝わっていないというのがネットなどを見ていて感じるところです。個人情報など大きな問題がありますが、協定書によれば来年の4月から委託になると存じ上げているのですが、そこまでの時間の中で、そういった個人情報の問題とかはクリアされるのではなかろうかと思うのです。

会員:私は福岡県民ですが、前の県連の会長さん、議会の議長さんをされていた方に、今回この樋渡さん(武雄市長)のことで相談に行きましたら、「図書館がないよりはあった方がいいだろうということで、あえて樋渡さんはこうしたのではないか。考えて御覧なさい」、「図書館がなくていいですか?それでは困るでしょう」、「変わった形でも本があればいいじゃないか」と言われ、そこまで前県連の方に言われると市民としては言いようがありません。筑紫野市というところが新館オープンする時にビル監理会社から派遣司書で運営した時に全国の図書館員からブーイングが起こりました。担当者は、首長から図書館をゼロにしていいのか、マイナスがいいのか(この計画を無にしていいのか)どちらを取るのかと言われた時、県から出向していた館長はマイナスよりゼロをとった。そういうギリギリの所を現場の人たちは選択させられています。それがきっかけとして全国に波及、嘱託問題がずっと起こっていますので、それが怖い。無いよりはあった方がいいだろうという感じで、どんどん既成事実が積み重ねられると、5年雇用止め制、何年雇用止め制と、司書の問題もそうだけれども図書館自体がボロボロになっていきます。

先ほどコピーしていただいた所にあるように、大分市民図書館では、リクエストをすれば買いますよ、リクエストがなかったら本の購入は無い、予算を使っていないということです、そこまで来ているのかというところがあります。それは本当に目的とか、対象は誰ですかということを考えて、基本的な事がないからと思いました。

会員:昨年度から学校司書という言葉が公に出てきたので喜んでいます。地方財政措置で学校司書の配置に予算が付き出したのでそれをもっと使ってと思います。専任で毎日ひとが入っているところは少ないので、自治体の裁量でやっているところはあるのですが、全国的に兼任の所も多いですし、身分も不安定なところも多いです。文科省が今回措置されたことをもっともっと全校配置が出来るまで、きちっと続けていただきたいと思います。

会員:東日本大震災や、その前の中越大地震の時も同様ですが、どうしても図書館とか学校図書館の復興は後回しになってしまいます。先ほど総務省に行きました時に、復興庁で費用はたくさん出ているとおっしゃいました。しかし、被災地の学校図書館は、普段から鍵のかかった図書室、人もいない図書室になっている。せっかく全国からの支援で子どもの本が送られても、それを整理して図書室に並べるということができていない。先生方は被災した子どもたちの対応で忙しくて、とても図書室まで手がまわらない。多分そういう状態がまだ残っていると思います。文科省の主導で、学校図書館をこの機会に整備していただきたいと思います。

会員:大阪の方では大阪府立中央図書館に、全国で初めての市場化テストという手法が取り入れられまして、今年度で一度区切りがつきます。情報公開をして日報の資料を全部見ました、この市場化テストは成功だというように言われていますが、実際の所は色々ありまして、民間の業者が慣れればどうにかなるでしょうということでしたが、ミスも多く、なかなか毎日の業務をこなすだけで大変、という状況がわかりました。図書館への市場化テストの導入は問題があると思います。私たちはその資料の分析結果を公表しようと思っていますが、市場化テストは議会決済がないので、指定管理者制度以上に問題があり、図書館にはなじまない制度であると考えています。

福富:これらは地方の自治体の問題であるということで、各地元で頑張っています。自治体の教育委員会の問題だということで、各地で頑張ってはいますが、国は地方自治法や教育基本法などを作って、あとは上からではなく、自治体で頑張れということでしょうが、実態は、図書館に対する基本的な認識をしていない情況があります。東南アジアやアフリカなどの図書館を知らない地域へ出かけて行って、学校図書館の建設を一生懸命にやると、現地の人が初めて図書館の事を知って、大変感謝する、ということがあります。しかし、日本国内でも全体が充実している訳ではありません。やはり地域がナショナルミニマムを実行していないとき、自治体がやらないからダメだということではなくて、その情況を押さえるのが文科省の仕事、国の仕事ではないでしょうか。

地方交付税措置など色々なことをやっていただき、調査も色々やっていただいいてはいます。しかし、例えば学校図書館の調査のまとめが遅れると、次年度へのアクションが取れないことがあります。タイミング良く調査等や場合によってはお金をつけることなどをやっていただきたい。地方の生の声を聞き、それを地方の問題と言わずに、国の責任として基本的にやっていただきたい。一つ一つには誤解があるかもしれないし、一生懸命やろうとしているかもしれません。しかし図書館法の精神、つまり図書館とはなんぞやという見識のある方から言わせると、まだ国民の民意が低い、政治家も行政も首長もまだ図書館に対する認識が不十分である、というのが実態です。

平川:公立図書館については、副大臣もおっしゃった様に、皆さんからのご希望に添えていないということで心苦しいところが担当者としてあります。震災について先ほど触れられていましたが、公立図書館については早い復旧、復興を我々も願っておりまして、東北関東を含めまして70ほど災害の調査を行っていて、補助金を交付することになっています。70くらい交付申請がありまして、1週間ぶっ通しで私も現地に財務省と一緒に行っているわけですが、現地調査を行って、補助金の交付を県の方、図書館の方と審査をしてきて早めの交付というのを心がけています。学校の方も、担当が現地に行って早めに交付し、復旧を心がけています。また、「住民に光を注ぐ交付金」は総務省の措置ですが、皆さんから非常に好評で、そちらも我々もやりとりをして、単発で終わらせるのではなく、今後とも継続的にできるようにということで特別交付税が措置されておりますので、このように総務省と連携しながらこれからも図書館の力になっていきたいと思っております。御伺いしました各地の状況は、今皆さんより色々御伺いしましたので、これを次の施策に生かしていきたいと思っております。

以上


(テキストのHTML化にあたり、読みやすくするため見出しの太字指定および改行を適宜行わせていただきました。また代表以下の面談出席会員名は個人情報保護の観点から伏せさせていただきました。ご了承ください。議事録の原文はPDFまたはWord文書をご参照ください。)

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