文部科学省 笠大臣政務官面談議事録

日時  :2011年5月24日 午前11時〜11時30分
場所  :文部科学省 大臣政務官室
面談者 :文部科学省 笠浩史 大臣政務官
図友連 ;福富洋一郎会長、以下会員6名
 

1.東日本大震災の被災地域の図書館に対する支援策の実施

(図友連から補足説明)
・震災で図書館が非常に被害を受けているので、ハードの面の復旧ばかりでなく、人の配置や子ども達への読み聞かせなどソフト面を含めて図書館機能への支援・援助を一段とお願いしたい。

(大臣政務官の発言)
・今回公立の図書館は激震災害の指定を受けていますので、3分の2が国庫として負担され補助します。さらに残りの3分の1の負担する部分についても 後年度交付税の措置がされるので、実質的な地方の負担分というのは、ごくごくわずかとなってきます。我々としては財政的な措置はしっかりとやって行くということで、対応しています。
・実際の被害は、まずは図書館の施設です。しかし大事な資料がどの程度失われたのか、自治体から今月末に支援要請が出てくるので補正予算で対応していきます。書籍も備品と位置付けられて対象です。

2.公立図書館の振興

(1)市民参加で中長期図書館振興政策の策定

(図友連から補足説明)
・図友連では、図書館の理想像を数年間かけて議論し「私たちの図書館宣言」を2年前に発表しました。7カ条にまとめて、図書館のあるべき姿を宣言しています。チラシの裏にあるように宣言をさらに説明する文書も作成しました。図書館振興政策の策定に取り入れていただきたいと願っています。

(2)補助金・交付金等措置の実施

(図友連から補足説明)
・地方自治体が財源を自由に決めるという考えがあることは理解しますが、折角公立図書館振興に使うために用意しても自治体によっては使われないことがあります。最低限のナショナルミニマム的な図書館体制がまだ全国にきちんとできているわけではないので、自治体に任せればよいと放置すると、日本の図書館の行政はうまくいかないという現実を踏まえて、今年も文科省に補助金・交付金等の措置の実施をお願いします。
・文科省が政策や調査をやるための予算をとり、公共図書館のデータをいち早く整理して公表していただければ、我々は地元の自治体に言いやすくなります。学校図書館の平成21年度末のデータが現在もまだ公表されていません。

(大臣政務官の発言)
・予算については、平成9年に地方分権の大きな流れの中で、今我々が図書館の施設設備に対して、直接的に補助金をみだりにつけるということは、学校図書館は別ですが、公立図書館については制度としてはなかなか難しいということが正直ございます。ただ我々は教育振興計画の中にも地域における住民の学習の拠点となるように図書館、博物館の活動を支援していくことを位置づけておりますので、文科省とすれば色々な形の研修事業であるとか側面支援という意味ではやっていかなければならないと思っています。
・図書の購入費や職員の人件費も地方財政措置を行っているところです。ちゃんとその通りに使われているのか一つひとつに指導していくことができるのかというと、そこの兼ね合いは正直難しいところもあります。むしろ我々も色々な啓発活動についてご協力はできると思います。皆様の団体がそれぞれの自治体で、一つは意識改革、すなわち図書館が必要だという意識を首長さんや議会などに持っていただく、それを推進していくために私たちは何ができるのか、皆さん方と色々な協議をしていかなければならないと思っています。
・地域主権、分権の流れの中で、国が調整機能を一定期間持つというのが大事ですが、頑張っているところとそうでないところの差を受け入れるということも分権です。あそこの隣の市はこれだけ図書館が充実しているのに、何でわが街はという意識を持っていくことが、実は総合力を挙げていくことになると思います。
・学校図書館のデータを速やかに、きちっと出すことは大前提ですが、実務的になぜ1年以上もかかるのか、確認をします。

(3)図書館管理運営を指定管理者制度、業務委託等民営化の対象から除外

(図友連から補足説明)
・渡海元文部科学大臣が、指定管理を図書館に入れることは弊害をもたらして問題があるということを言ってくれたのですが、いまだに各地では、コストが安いという理由で民営化がどんどん進んでいるという実態があります。現状の調査をきちんとやっていただき、施策を進めていただきたい。
・片山総務大臣は、平成23年1月5日の記者会見で「公共図書館は指定管理者になじまず、行政が直営で、スタッフを配置して運営すべきだ」と発言をされました。図書館法や博物館法など法律で規制がある社会教育施設については、そう安易に指定管理にするなと総務省は言ってくれたので、文科省にも更に踏み込むようお願いしたいと思います。
・その後、千代田区で行なわれた会議において、渡海元文科大臣は、実は図書館に指定管理を入れることを薦めていると誤解される発言を行なっていました。

(大臣政務官の発言)
・平成21年度に調査研究を文部科学省でも行って、安定した運営が可能な指定期間を検討、あるいは職員に対して安定的な処遇を確保する等々、留意点をホームページに掲載して、啓発しています。21年度の時の調査を参考にしながら、どういう形で改めてやる必要があるのかどうか検討させていただきたいと思います。総務大臣がここまではっきりおっしゃるということは、かなり自治体の首長さんたちもそれは重く受け止めておられると思います。

(4)図書館協議会の設置促進と住民代表枠の設置

(図友連から補足説明)
・形骸化している図書館協議会が多いという実態がありますが、市民参加の一つの形態として大事なところですので、我々としては委員に住民枠をつけて協議会を必置とするよう、図書館法の改正を要望したいと思っています。
・今の国会に「地域の自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律の整備に関する法律」の中に、図書館法15条の一部改正案がかかっているという話を聞いて、私たちは驚いています。文科省の図書館振興係は聞いていないといっています。そういう流れはあるのでしょうか。

(大臣政務官の発言)
・文科省のほうで基準を置いて設置するようにやっており、図書館を利用される住民の代表の方が協議会の委員として入られるということは可能です。ただ誰を入れろとかは一律でありません。例えば住民の方、利用者が、入れられないのだと言われたならば、問題です。
・図書館法15条の一部改正案の件は、調べてみます。

(5)図書館で働く官製ワーキングプアの労働環境の改善

(6)地域資料や郷土資料の電子化のための予算計上

(7)県域を越えた資料郵送費の無料化の実現

上記(5)(6)(7)については、要望書をお読みください。(特に補足説明なし。)

3.学校図書館の活性化

(1)学校図書館整備のための効果的な財源処置

(2)学校図書館への専門職員の配置

(3)学校図書館運営を業務委託等民営化の対象から除外

(図友連から補足説明)
・学校図書館の活性化には、「人」と「金」の問題が重要です。また、学校図書館にすら民営化が進んでいることを認識いただきたく要望しました。特に、学校図書館にぜひ「人」を置くという長年の要望を今年もお願いします。

(大臣政務官の発言)
・「人」の必要性というのは十分認識しています。学校司書もそうですし、ただまだ教員すら少人数学級で配置ができないという根本的な問題があります。すべては財源が問題です。私たちは頑張りますし、皆さんにも応援いただきたい。すべては、財源を取ってこられない文部科学省の政務3役の力不足だと言われれば、我々は精一杯頑張ります。私は「新しい公共」という新しい概念で、色々な経験者の方を、半分「公」で半分「民間」という、なんかそういう風な形のもので、やって行くことができれば一番いいと思います。

4.国会図書館の書誌データについての周知

(図友連から補足説明)
・「書誌データ」について、統一された「書誌データ」を無料で使えることは非常にいいことなので、頑張って推進するための施策を実行していただきたい。

5.要望書の回答について

(図友連から要望)
・去年までは、要望書への文書回答をいただけませんでした。総務省からは文書回答をいただいていますので、今年についてはぜひ文書回答をお願いします。

(大臣政務官の発言)
・私もすべての陳情にお会いするわけではないので、政務3役が会うということは、事務方の文書よりも私の言葉のほうが重いと思っています。録音していただいて結構ですし、それを文書化していただいて確認し、プラスの部分を私の名前で回答することでいかがでしょうか。私が政務官として責任を持って回答します。

(図友連の発言)
・了解しました。よろしくお願いします。

以上


(テキストのHTML化にあたり、読みやすくするため見出しの太字指定および改行を適宜行わせていただきました。また代表以下の面談出席会員名は個人情報保護の観点から伏せさせていただきました。ご了承ください。議事録の原文はPDFまたはWord文書をご参照ください。)

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