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【2016年1月30日】パンフレット「ツタヤ図書館」の“いま” 発表

図書館友の会全国連絡会では、『「ツタヤ図書館」の“いま”』というパンフレットを作成いたしました。

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この「ミニパンフレット」の趣旨

○まずは知ろう
賛否両論が渦巻く「ツタヤ図書館」が全国の自治体に広がろうとしています。そうしたなか図書館としてのあり方論議を超え、地方自治そのものが問われるまでになりました。
「ツタヤ図書館」がなぜこれほどまでに騒がれるのか?ここでは「ツタヤ図書館」の現状をごく簡単にお伝えすることで、なぜ大きな話題となっているのかを理解する糸口を掴んでもらうことを目的としています。

全文PDFを公開しています。本文書の趣旨をご理解の上、当会の著作権を尊重した適正なご利用をお願いいたします。

>> 「ツタヤ図書館」の“いま” (全文PDF)※公式サイトへ

「ツタヤ図書館」の“いま” 9章 ≪出典≫掲載リンク集

〔注1〕○議会リポート(図書館問題速報(第2弾)山口良樹後援会発行)
〔注2〕○図書館総合展「”武雄市図書館”を検証する」全文(樋渡啓祐市長、糸賀雅児教授、CCC高橋聡さん、湯浅俊彦教授)−激論、進化する公立図書館か、公設民営のブックカフェか?

【1】
○武雄問題文書館−資料室
○ツタヤ図書館関連メディア報道一覧
○たけおポータル 予算・財政状況

【2】
○武雄市図書館・歴史資料館を学習する市民の会
○武雄市歴史資料館
○武雄市図書館

【3】
○【武雄市図書館選書】市教委「図書購入費を削り、本の落下防止対策費に」樋渡前市長は「関知せず」
○東野圭吾の小説『手紙』は手紙の書き方コーナーに 海老名TSUTAYA図書館の怪

【6】
○文化通信 2015年10月26日(立ち読み)
○CCC−事業概要
○TRC-運営実績

【9】
○学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議

【参考】
○CCCの運営する図書館(通称「TSUTAYA 図書館」)に関する問題についての声明
○カフェのある図書館マップ(東日本版西日本版
○図書館と大型書店を融合した文化・交流施設『OKEGAWA honプラス+』

※〔注1・2〕【番号】は、それぞれパンフレット中の注記および章番号です。本文も併せてお読み下さい。

【2015年9月28日】武雄市をモデルとした新図書館建設の再考を求める要望書(小牧市長宛)

平成27年9月28日

小牧市長 山下史守朗 様

図書館友の会全国連絡会
代表 福富洋一郎

 

武雄市をモデルとした新図書館建設の再考を求める要望書

 

平素より小牧市政にご尽力なされていることに、心から敬意を表します。

私たち図書館友の会全国連絡会は、図書館づくり、図書館の応援団として全国各地で活動をしている団体・個人の全国組織です。会発足から10年余、毎年、総務大臣、文部科学大臣に要望・交渉など図書館の発展振興のための活動を行ってまいりました。

このたび、貴市が武雄市をモデルとした新図書館の建設計画を進めていること、また、この建設計画の是非を問う住民投票が行われることを知りました。私たちは、貴市がモデルとしている佐賀県武雄市図書館は、極めて大きな問題を抱えた図書館であると考えています。武雄市が情報公開に応じなかったため、指定管理者カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)が大量の「ごみ本」(売れ残れば中古書店はごみとして処分する本、マスコミ・ネットは「ごみ本」と言う。適切な言葉が見当たらずこれを使う)を大量に購入していたなどの選書問題が明らかになったのは、ようやく最近になってのことです。

加えて、武雄モデルを導入した神奈川県海老名市でも、同じく大量の「ごみ本」の購入計画が発覚しました。海老名市立図書館はCCCに株式会社図書館流通センター(TRC)が加わった共同事業体が指定管理者となり、その元に起きたことです。この2社は、貴市が想定する指定管理者と同じです。新小牧市立図書館建設基本計画は、武雄市とCCCをめぐる疑惑が明るみに出ていない段階において、武雄市をモデルとして作成したものであり、武雄市の実態が明らかになりつつある今、慎重に対応することを強く要望いたします。

 

【 要 望 】

 

1.現在の新小牧市立図書館建設基本計画を白紙に戻し、再度検討してください

2.10月4日の住民投票の結果にかかわらず、上記1.を市長として決断してください

 

【 説 明 】

 

1.「住民投票の結果にかかわらず、市長として決断」するということは民意の尊重に反するように見えますので、誤解を招かないために説明します。

 

現在疑惑を起こして問題になっている民間企業に、その成果を期待し莫大な公費(税金)を投入する事業を委ねることを避けるのは、為政者として当然のことと考えます。ましてや、疑惑のある企業に、疑惑を起こしているのと同じ事業を委ねることは、市民に大きな損害を与える恐れがあることを分かっていながら、それを看過しているように思えます。住民投票にかける前に、市長が白紙・再検討を表明することが相応しいと考えますが、すでに投票日程も迫っていますので、上記の要望とする次第です。

また、一言付け加えれば、住民投票は、正確な情報の提供があってこそ民意が正しく反映されますが、不都合な事実が伏せられるようなことがあれば、民意が誤って反映されることになりかねないことに危惧を持つからでもあります。

 

2.今、武雄市図書館で顕在化した課題について説明します。

  

武雄市は平成25年4月、CCC(蔦屋書店、DVDレンタルショップTSUTAYA、ツタヤ系列スターバックス、Tカード等を経営)を指定管理者として武雄市図書館をリニューアルオープンし、このことは、従来の図書館のイメージを一新した「新しい図書館モデル」として、マスコミも大きく報道し、優れた図書館の姿として国民の間に喧伝されました。この「新しい図書館モデル」は、CCCと樋渡前武雄市長独断のコラボレーションの所産であり、その最大の功労者である樋渡前市長は全国から招かれ、輝かしい成果として講演してきました。当然ながら、この目覚ましい「成功モデル」の跡を追う自治体も出てきました。貴市もその一つであろうと思います。

しかし、今、「新しい図書館モデル」をめぐって、CCCや樋渡前市長への疑惑をマスコミが一斉に取り上げ始めました。発端は、CCCがリニューアル開館時に選定購入した1万冊の中に「東京おいしい店ガイド2000~2001」「公認会計士第2次試験2001」「ラーメンマップ埼玉2(1997年刊)」などの「ごみ本」を、CCC関連の古書販売会社ネットオフから買っていたと報じられたことにあります。このことでCCCは異例の謝罪文をネットで発表しました。

時を置かずに、武雄市に次いで「新しい図書館モデル」を導入した神奈川県海老名市(貴市と同じく、CCCにTRCを加えた共同事業体が指定管理者)でも、武雄市と同じように「ごみ本」が発覚しました。10月1日のリニューアルオープンに向けて、今年度1万冊購入予定のうち、8343冊の購入リストが明らかになりましたが、武雄市と同様に古書が多く、加えて、半数の4126冊を料理本が占めること、「アイミクロンメガネクロス」20件(本と言うよりは「メガネ拭きの布」である)や40年から10年前くらいのさまざまな雑誌を含んでいることが明らかにされました。購入リストはネットで公開されていますので、直接ご覧になって、ご自身でご確認いただくよう要望します。どんなにひどい内容であるか、お分かりになると思います。(URLを本要望書末に付記)

このようなことが起きる背景は、指定管理者制度のもとでは例えば年間2億円の指定管理料で1億円が残れば、その1億を指定管理会社の取り分とする契約が通常的になされていることにあります。海老名市でも通常の契約がなされていれば、最低1万冊の本を安く購入すればCCCの利益は増えることになります。利益を優先させる民間会社のもとでは、きちんとして本を選択購入しようということもなくなります。安い本を買って、選書もいい加減となれば、蔵書の質は落ち、利用者の足は遠のき、図書館への信頼は失われます。CCCはこのような図書館運営を行ってきたのではないでしょうか。

加えて、樋渡前武雄市長が、民間社団法人「巨樹の会」の理事に今年6月、CCC子会社「ふるさとスマホ株式会社」の社長に7月、就任していたことが明らかになりました。「巨樹の会」は武雄市立病院の民営移譲法人であり、「ふるさとスマホ株式会社」は武雄市図書館の指定管理会社CCCの子会社であったことから、マスコミが取り上げ、多くの人を驚かせました。また、武雄市図書館の改修に伴って締結された二つの業務委託契約の内容が「ずさんで違法」として、住民が現武雄市長を相手に、委託費約1億8000万円を当時の責任者の樋渡前市長に損害賠償請求するよう求める裁判が、現在起きています。

3.武雄市とCCCを巡る疑惑について説明します。

 

武雄市及びCCCを巡る疑惑は、①武雄市は税金を使って民間会社CCCに便宜供与を図ったのではないか、②その隠れ蓑として武雄市図書館を利用し、図書館を壊しボロボロにしたのではないか、ということです。武雄市で何があったのか、貴市でも十分に調査されていることと思いますが、私たちの把握している疑惑、問題点の一端について、ご参考までにお伝えします。

(1) 指定管理料の使途が明らかにされてないこと。例えば蔦屋書店店員と図書館担当社員の区別がないので、公費(税金)で蔦屋書店店員のほぼすべてをまかなっていることもありえないことではないこと。その他便宜供与と見えるもの(例えばテナント料、光熱費負担、商業施設の宣伝料等)は多数あります。

(2)CCC営業と競合する多くの資料が図書館から排除されたこと。CCCの要求で、DVDレンタルショップTSUTAYAにするために、当初計画にない蘭学館が廃止されてしまったこと。

(3)CCCの商業店舗を作るために4.5億(追加工事を除く)の公費(税金)で改修を行ったこと。入口付近の主要部分をCCCの商業店舗に与えたこと。

(4)指定管理業者選定に当たっては、定められた手続きを踏まずに、市長の独断でCCCを指定管理者とする基本合意書を契約したこと。

(5)安全性をおろそかにした改修計画から、図書館部分に問題が多発したこと。

①2階バルコニーに冷暖房設備が無く中間期でも異常な高温となり、急遽巨大なシーリングファンを取り付けたが殆ど効果が無い。②2階バルコニー壁の4メートル高層書架に本の落下防止を取り付けたがその効果に疑問が指摘されている。③2階バルコニーの避難経路が不十分で、建築基準法違反状態が放置されている。④図書館部分の書架が、JIS規格でないと思われるCCC仕様で製作されており、その安全性・耐用年数などが不明で、火災・地震等の災害時対応が十分に検討されていない。

(6)その他、Tカード採用による個人情報漏洩の危険性の問題、全国統一的NDC方式を採用せず、独自の武雄市21進分類法で配架しているため、今でも書架の整理が不十分な状態が続いている問題など。

 

以上、要望の趣旨を3点にまとめ説明いたしました。改めて申し上げるまでもなく、市民に開かれた地方自治を進めるために、「情報公開」「説明責任の遂行」「透明性の確保」の3原則は欠かせません。このことが生きていなければ、その地方自治体は市民の信望を失います。貴市が「新しい図書館モデル」としている武雄市図書館はこの3原則を満たしていないために大きな課題を抱えています。

CCCとTRCの共同事業体を指定管理者として「新しい図書館モデル」を目指している海老名市では、武雄市図書館で「ごみ本」発覚直後に、市議会だけでなく行政(市長、教育長)も不安を感じ、具体的にチェックしてみると、武雄市図書館と同様「ゴミ本」の購入計画が進んでいました。海老名市の議会、行政が不安を感じていたように、指定管理者である民間会社が力を持っており、行政(市長、教育長)のコントロールがきかない民間会社だということが分りました。私たちの見るところでは、逆に民間会社が行政をコントロールしているかのように見えます。このような民間会社を公立図書館の指定管理者にして良いのでしょうか?絶対にしてはならないと思います。

 

ここに及んで、新小牧市立図書館建設基本計画を一旦白紙に戻すことの難しさは、私たちにも理解できることではありますが、それができるのは山下史守朗市長のみと考えます。市民から英断と称される決断をしてくださいますことを心から要望いたします。

 

【参考】

海老名市立図書館の選書リスト(海老名市議会議員 山口良樹氏の公式ホームページ)

http://www.yoshiki-yamaguchi.com/report7sokuho.html

http://www.yoshiki-yamaguchi.com/SenshoList1.pdf

http://www.yoshiki-yamaguchi.com/SenshoList2.pdf

 

  連絡先: 図書館友の会全国連絡会 事務局長 船橋佳子

※(住所・TEL省略)

 ※個人情報保護の観点より事務局の連絡先はホームページでは非公開とさせていただきます。お問い合せは図友連HP http://totomoren.net/メールフォームよりお願いいたします。

 

 

【追記:注】「新小牧市立図書館建設基本計画」とあるのは、平成21年度に策定した同計画ではなく、ここでは山下市長が進めている「現在の新図書館建設計画」を指しています。

>> 【2015年9月28日】武雄市をモデルとした新図書館建設の再考を求める要望書(PDF)

2014年2月24日 「図書館の民間会社による管理・運営に関する意見・要望」の送付について(海老名市・多賀城市あて・要旨)

平成26年2月24日
各 位
図書館友の会全国連絡会 代表 福富洋一郎

「図書館の民間会社による管理・運営に関する意見・要望」の送付について

私たちは、公立図書館が「地域の知の拠点」として発展することを願い、全国各地で活動する市民団体・個人の連絡組織です。本日、別紙の通り神奈川県海老名市と宮城県多賀城市の市長と教育委員長に対し「図書館の民間会社による管理・運営に関する意見・要望」を提出しました。

佐賀県武雄市図書館は、昨年4月にカルチュア・コンビニエンス・クラブ社(CCC)を指定管理者とする図書館としてリニューアルオープンしました。書店とCD/DVDレンタルショップ、コーヒー店(スタバ)を配置することにより入館者を増やし、このことは全国的に注目を集めています。そして海老名市、多賀城市、山口県周南市など、武雄市を参考にする自治体が出てきたと報道されています。私たちは、武雄市民や図書館利用者、全国の公立図書館員や図書館友の会会員の見学情報を集めた結果、武雄市の事例は、公立図書館の振興・発展ばかりでなく地方自治のあり方にとっても、大きな問題・課題があると深く憂慮しています。

私たちは、この意見・要望書で指摘した6つの問題点・課題について、直接の関係者ばかりでなく、全国の自治体の図書館行政に携わる方、議員、マスコミ関係者、そして何よりも公立図書館の主人である住民一人ひとりに広く伝わるよう、心から願っています。

ご承知のとおり、日本の公立図書館の「図書館数」・「資料費」は、G8各国平均から大きく立ち遅れております。また図書館の要となる「司書」の配置も、公立図書館・学校図書館ともに大変貧しい状態にあります。その中で近年、公立図書館に指定管理者制度を導入したり、窓口業務を民間会社に委託する自治体が増えています。しかし、それは公立図書館が担うべき図書館サービスの低下につながり、私たちが目指す理想の図書館づくりにはそぐわないものとして、これまでもその問題・課題を提起してきました。

この意見・要望書を、これからの図書館のあり方を考える参考にして頂ければ幸甚に存じます。

2014年2月24日 「図書館の民間会社による管理・運営に関する意見・要望」の送付について(海老名市・多賀城市あて・要旨 PDF)

>> 2014年2月24日 図書館の民間会社による管理・運営に関する意見・要望(海老名市あて)
>> 2014年2月24日 図書館の民間会社による管理・運営に関する意見・要望(多賀城市あて)

2014年2月24日 図書館の民間会社による管理・運営に関する意見・要望(海老名市あて)

平成26年2月24日
海老名市長 内野 優 様
海老名市教育委員長 海野惠子 様

図書館の民間会社による管理・運営に関する意見・要望

図書館友の会全国連絡会
代表 福富洋一郎

私たちは、公共図書館の充実と発展を求めて活動している図書館友の会の全国組織です。
佐賀県武雄市図書館は、昨年4月にカルチュア・コンビニエンス・クラブ社(以下「CCC」という。蔦屋書店、CD/DVDレンタルショップのTSUTAYAの運営会社で、スターバックスのライセンス提供を受けている)を指定管理者とする図書館としてリニューアルオープンしました。
このことは全国的に注目を集め、民間ノウハウ活用のモデルの一つとして紹介され、武雄市を参考にする自治体があると報道されています。海老名市も武雄市を参考にして、市立図書館の改善策を考えているのではないかと思い、ご参考までに武雄市図書館の実績を評価し、問題点・課題を6点にまとめてお伝えしたいと思います。この意見・要望に対し、ご回答をお願いします。

私たちは一昨年5月、樋渡武雄市長が、東京の代官山蔦屋書店で記者発表して以降、この動きに関心を持ち、武雄市民や図書館利用者、全国の公立図書館員や図書館友の会会員の見学情報を集めてきました。そして、この武雄市の事例が、公立図書館の振興・発展ばかりでなく地方自治にとっても、大きな問題・課題があると考えるに至りました。そして平成25年7月7日に「武雄市図書館の民間会社による管理・運営に関する声明書」を発表しましたので、これもご参考にしていただければ幸甚です。

1.Tカード採用は営業支援でありビッグデータへとつながる恐れ
武雄市図書館の指定管理者であるCCCにとって、Tカードは重要な営業促進手段の一つです。図書館カードにこのTカードを併用することについては、情報セキュリティ関係者や日本図書館協会、日本文藝家協会等から数々の懸念が表明されました。そのため、図書館利用者が従来の図書館カードを選択することも認めるようにはなりました。しかし、現場では丁寧な説明がないままTカードへの勧誘が続いています。海老名市がどうしてもTカードを図書館に使用しなければならないか、慎重に検討することを要望いたします。

図書館利用に特定のポイントカード使用を認めることは、CCCと提携しTカードを導入している事業者への便宜供与となり、営業支援行為であり、公平公正であるべき行政として大きな問題です。また、「利用者の貸出履歴など、個人情報が洩れたり、商業利用されたりすることはない」と説明していますが、一民間会社であるCCCが図書館利用に係る情報を集積することになり、ビッグデータとして自己情報コントロール権が侵害されることを懸念しています。

2.市民によるオープンな議論の場の提供を
市民の幸せを考える市政を目指すのであれば、公立図書館の管理運営に関することは事前に詳細情報を提供し、広くパブリックコメント等で市民の声を聴くとともに市民との意見交換の場を提供してください。海老名市はこれまでも市民の意見を取り上げてきていますが、懸念する市民に対し、さらにオープンな議論の場の提供を要望します。

図書館や歴史資料館など社会教育施設へ指定管理者制度を導入する最大の問題点は、業務の継続性が担保されないことだと考えます。指定管理者制度の目的が、民間活力の導入による住民サービスの向上であれば、競争の論理により数年で指定管理者が変わる可能性は大です。CCCは利益が出なければ撤退します。当然、図書館の司書や専門的職員も変わります。公立図書館は、日々の業務に加えて、町の記憶遺産や文化資産を収集・整理・保存し、次世代に引き継ぐという使命も併せ持っています。それを担う司書の専門性や、地域住民との協同作業は数年で培われるものではありません。費用対効果を考慮しても司書の継続的な確保は図書館にとって最重要課題です。だからこそ、市民は図書館への税金の投入を認め、その責任を行政に果たすよう求めています。

武雄市教育委員会は、図書館サービスをCCCに丸投げしてしまい主体的に教育機関として図書館の管理・運営を継続して行っておりません。本を借りてポイントをためたり、コーヒーを飲みながら本が読めたり、図書館で本や雑誌が購入できることが、その使命に勝るとは思えません。

3.CCCの採用は、地域振興に結びつかない懸念
CCCという東京に本社ある民間会社に図書館運営を委託するということは、人材とノウハウの根幹部分が地元に根付かず、東京に流出するということを意味します。地域振興のため東京から企業を誘致してくるというモデルは、これまでにも地域経済の中央依存や衰退など破たんを見ているはずですが、今回はそれを繰り返すことになります。

イタリアで始まったスローフード運動は、アメリカのファストフードチェーン店を拒否して、地産地消、即ち地域自立をめざすものですが、これは教育文化行政にも当てはまるものだと思います。東京に目を向けるのではなく、郷土の歴史・文化を大切にして、地元書店と共存共栄することが、真の地域振興策ではないかと考えます。
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2014年2月24日 図書館の民間会社による管理・運営に関する意見・要望(多賀城市あて)

平成26年2月24日
多賀城市長 菊地健次郎 様
多賀城市教育委員長 浅野憲隆 様

図書館の民間会社による管理・運営に関する意見・要望

図書館友の会全国連絡会
代表 福富洋一郎

私たちは、公共図書館の充実と発展を求めて活動している図書館友の会の全国組織です。

佐賀県武雄市図書館は、昨年4月にカルチュア・コンビニエンス・クラブ社(以下「CCC」という。蔦屋書店、CD/DVDレンタルショップのTSUTAYAの運営会社で、スターバックスのライセンス提供を受けている)を指定管理者とする図書館としてリニューアルオープンしました。

このことは全国的に注目を集め、民間ノウハウ活用のモデルの一つとして紹介され、武雄市を参考にする自治体があると報道されています。多賀城市も武雄市を参考にして、市立図書館の改善策を考えているのではないかと思い、ご参考までに武雄市図書館の実績を評価し、問題点・課題を6点にまとめてお伝えしたいと思います。この意見・要望に対し、ご回答をお願いします。

私たちは一昨年5月、樋渡武雄市長が、東京の代官山蔦屋書店で記者発表して以降、この動きに関心を持ち、武雄市民や図書館利用者、全国の公立図書館員や図書館友の会会員の見学情報を集めてきました。そして、この武雄市の事例が、公立図書館の振興・発展ばかりでなく地方自治にとっても、大きな問題・課題があると考えるに至りました。そして平成25年7月7日に「武雄市図書館の民間会社による管理・運営に関する声明書」を発表しましたので、これもご参考にしていただければ幸甚です。

1.Tカード採用は営業支援でありビッグデータへとつながる恐れ
武雄市図書館の指定管理者であるCCCにとって、Tカードは重要な営業促進手段の一つです。図書館カードにこのTカードを併用することについては、情報セキュリティ関係者や日本図書館協会、日本文藝家協会等から数々の懸念が表明されました。そのため、図書館利用者が従来の図書館カードを選択することも認めるようにはなりました。しかし、現場では丁寧な説明がないままTカードへの勧誘が続いています。多賀城市がどうしてもTカードを図書館に使用しなければならないか、慎重に検討することを要望いたします。

図書館利用に特定のポイントカード使用を認めることは、CCCと提携しTカードを導入している事業者への便宜供与となり、営業支援行為であり、公平公正であるべき行政として大きな問題です。また、「利用者の貸出履歴など、個人情報が洩れたり、商業利用されたりすることはない」と説明していますが、一民間会社であるCCCが図書館利用に係る情報を集積することになり、ビッグデータとして自己情報コントロール権が侵害されることを懸念しています。

2.市民によるオープンな議論の場の提供を
市民の幸せを考える市政を目指すのであれば、公立図書館の管理運営に関することは事前に詳細情報を提供し、広くパブリックコメント等で市民の声を聴くとともに市民との意見交換の場を提供してください。多賀城市はこれまでも市民の意見を取り上げてきていますが、懸念する市民に対し、さらにオープンな議論の場の提供を要望します。

図書館や歴史資料館など社会教育施設へ指定管理者制度を導入する最大の問題点は、業務の継続性が担保されないことだと考えます。指定管理者制度の目的が、民間活力の導入による住民サービスの向上であれば、競争の論理により数年で指定管理者が変わる可能性は大です。CCCは利益が出なければ撤退します。当然、図書館の司書や専門的職員も変わります。公立図書館は、日々の業務に加えて、町の記憶遺産や文化資産を収集・整理・保存し、次世代に引き継ぐという使命も併せ持っています。それを担う司書の専門性や、地域住民との協同作業は数年で培われるものではありません。費用対効果を考慮しても司書の継続的な確保は図書館にとって最重要課題です。だからこそ、市民は図書館への税金の投入を認め、その責任を行政に果たすよう求めています。

武雄市教育委員会は、図書館サービスをCCCに丸投げしてしまい主体的に教育機関として図書館の管理・運営を継続して行っておりません。本を借りてポイントをためたり、コーヒーを飲みながら本が読めたり、図書館で本や雑誌が購入できることが、その使命に勝るとは思えません。

3.CCCの採用は、地域振興に結びつかない懸念
CCCという東京に本社ある民間会社に図書館運営を委託するということは、人材とノウハウの根幹部分が地元に根付かず、東京に流出するということを意味します。地域振興のため東京から企業を誘致してくるというモデルは、これまでにも地域経済の中央依存や衰退など破たんを見ているはずですが、今回はそれを繰り返すことになります。

イタリアで始まったスローフード運動は、アメリカのファストフードチェーン店を拒否して、地産地消、即ち地域自立をめざすものですが、これは教育文化行政にも当てはまるものだと思います。東京に目を向けるのではなく、郷土の歴史・文化を大切にして、地元書店と共存共栄することが、真の地域振興策ではないかと考えます。

4.武雄市における地方自治法や図書館法等の法令遵守違反
自治体の首長が、特定の民間会社を指定管理者に選定し、十分な情報公開をしない地方自治のあり方は問題です。スピード感を重視するという理由で、行政が遵守すべき手続きを市長が軽んじてきました。 武雄市長の独断でCCC1社を指定管理者として指名したことは、受注価格、公平性、透明性に問題があり、地方自治に求められる公共調達の適正化方針に反します。また市立図書館の改造に当たり、CCC社の営業部分も公共投資で実施したことは、問題があると考えます。特定の民間会社を優遇することは、公平公正を旨とする行政の立場を逸脱していると私たちは考えます。

多賀城市では武雄市とは状況が違っていますが、図書館政策を市民に示さないまま、武雄市と同様にCCCという特定の民間会社を特命したと市民に誤解を与えないようにご説明をお願いいたします。

5.市民が求める公立図書館像との乖離
改めて言うまでも無く、公立図書館が担うべき公共性は、すべての住民、特に社会的に弱い立場の住民の基本的人権や知る権利を守ることにあると考えます。公立図書館は、高齢者や子どもたち、障がい者、低所得層などの社会的弱者の利用を基本と考えるユニバーサルサービスの構築・提供を第一に考えるべきです。 武雄市図書館は、リニューアルして商業主義が目立ち、この「民主主義の砦」としての公立図書館の役割と公共性への配慮がまったく欠如してしまいました。

また、市民が求める図書館サービスは、利用者に対応したサービスや貸出サービスだけでなく、レファレンス等の情報サービス、さらには地域の課題に対応したサービスなど多様なものです。多賀城市におかれては、これらの図書館サービスを十分行える態勢づくりを目指していただくよう要望します。(【参照】「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」(平成24年12月19日 文部科学省告示)

6.公共サービスの商業化の抑制、公共の場の安心・安全の確保
今回武雄市は、書店とCD/DVDレンタルショップ、コーヒー店を配置することにより入館者を増やしました。武雄市では、図書館の来館者を大幅に増やすことが地域の活性化につながり、成功だと評価しています。

しかし私たちは、公立図書館に求められる本来の公共サービスは逆に弱体化したと考えます。民間会社であるCCCは、書店やレンタル、コーヒー店の営業から、収益を上げることができます。事実武雄市図書館では、貸出も可能な雑誌資料の所蔵タイトル数を大幅に減らし、書店での販売を促進しています。商業色が前面に出てきたため、経済的に恵まれていない高齢者や子どもを持つ親たちが利用を躊躇する状況が生まれてきています。リニューアルオープン後、まだ、判断力があるとはいえない子どもたちが嬉々として自動貸出機でTカードを使っている姿や、図書館利用者の座席でも誤ってCCC社員が商品購入を要求したことなどは、境目のない「商業施設」との同居の弊害ではないでしょうか。

また天井まで続く書架に詰め込まれた本は、地震時、凶器と化して利用者を襲う危険性が懸念されています。一部はダミー本であるようですが、多賀城市もこの天井まで続くデザインを採用する等、武雄市図書館のデザインを取り入れようとしているのではないかと懸念しています。商業化を抑制するとともに、公共の場の安心・安全の確保を要望します。

以上

【参考】 「私たちの図書館宣言」
http://totomoren.net/aboutus.html#sengen
私たちは図書館のあるべき姿として、2009年に「私たちの図書館宣言」を発表しました。その前文で、「図書館は人類の叡智の宝庫です。読み、調べ、学び、交流し、必要な情報が得られる教育機関として、私たちの自立と地域社会の発展になくてはならない施設です。」 そして、第7項目では「教育委員会の責任で設置し、直接、管理運営される図書館」と宣言しています。

2014年2月24日 図書館の民間会社による管理・運営に関する意見・要望(多賀城市あて PDF)