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【2016/6/16】豊田市中央図書館への指定管理者制度導入計画の凍結・再検討を求める要望書

平成28年6月16日

豊田市長   太田 稔彦 様
豊田市教育長 福嶋 兼光 様

豊田市の図書館を考える市民の会
代表 杉本 はるみ
図書館友の会全国連絡会
代表 福富 洋一郎

豊田市中央図書館への指定管理者制度導入計画の凍結・再検討を求める要望書

 

平素よりの市政へのご尽力につきまして、改めて敬意を表します。

「豊田市の図書館を考える市民の会」は豊田市中央図書館が市の責任において運営され、真に市民のための図書館であることを願う市民の会です。また「図書館友の会全国連絡会」は、公立図書館の充実と発展を求めて活動している全国組織です。

私たちはこれまで講演会や他の図書館の視察を通して指定管理者制度について学習し、意見交換をしてまいりました。その結果、指定管理者制度を拙速に導入することがこの先の豊田市の行政に大きな禍根を残すのではと危惧しています。

私たちは下記の理由により平成29年度からの豊田市中央図書館への指定管理者制度導入計画を凍結し、市民を交えて再検討することを強く要望します。

つきましては、提出しましたこの要望書について、早急にご検討いただきその結果をご連絡くださるようお願い申し上げます。また広く市民に向けた説明の実施についても、ご検討いただきますよう、併せてお願い申し上げます。

要望理由

1.「豊田市中央図書館運営基本方針の3つの柱と7つの方針」を実現させるために指定管理者制度を導入すると説明されていますが、図書館が作成している説明資料からは、どうして指定管理者制度導入へと結論が導かれるのか理解できません。

現状の直営体制のどこに問題があるのか検証が不十分です。指定管理者制度導入のメリットとされている「司書率の向上」と「開館時間の延長」は、直営でも実現可能なことであり、逆にデメリットは豊田市の考えている対応策で解決できるものではありません。豊田市中央図書館運営基本方針に盛り込まれた図書館の位置づけや機能を発揮できる体制作りの実現は、直営を維持してこそ具体化できます。

2.豊田市中央図書館への指定管理者制度導入についての議会での論議は不十分であり、指定管理者を7月から募集することは拙速です。地方自治法第244条の2第3項「普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの(以下本条及び第二百四十四条の四において「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができる。」とあります。しかし「豊田市中央図書館サービス向上計画書」からは設置の目的を効果的に達成するという根拠が読み取れませんし、膨大な計画書そのものがどれだけ検討、討議されたのか、疑問を感じています。また、議会での条例改正の議決を経ていない段階での指定管理者の募集は、明らかに議会軽視であり、法令違反です。

3. 指定管理者制度導入について検討する以前に、豊田市全体の施策の中に図書館をどう位置づけているのか十分検討されていません。学校、ネットワーク館、豊田市の他の部署との連携を含め、知の拠点として図書館がどうあるべきかを行政計画全体の中で考えることが先決です。

4. 図書館は市民の財産です。運営形態を変える計画について、市民への説明責任を果たされていないのは問題です。図書館協議会の場でも委員から不安や疑問の声があがっています。その事実を無視して、指定管理者制度導入を推し進めることは市民の声を聞いていないのと同じです。

5.指定管理者の選定の流れに不透明さを感じます。豊田市は「豊田市中央図書館サービス向上計画」策定業務を図書館総合研究所に委託しましたが、図書館総合研究所は図書館流通センターの子会社であり、報告書は図書館流通センターの手法を具体的に提案しています。一つの企業に有利な流れが出来つつあります。また「他市での実績があるから安心」ということは安直な判断であり、他市では期待された効果があがっていない事例も多くあります。私たちはどの企業であろうと、十分な審議を経ない拙速な指定管理者制度導入は反対です。

以上

       連絡先

豊田市の図書館を考える市民の会
代表 杉本はるみ(住所等省略)
図書館友の会全国連絡会
事務局長 船橋佳子(住所等省略)

※個人情報保護の観点より事務局の連絡先はホームページでは非公開とさせていただきます。お問い合せは図友連へのお問い合せ メールフォームよりお願いいたします。

>> 【2016/6/16】豊田市中央図書館への指定管理者制度導入計画の凍結・再検討を求める要望書(PDF)

【2016/5/24】土屋正忠総務副大臣面談報告書

土屋正忠総務副大臣面談報告書

日時:2016年5月24日(火)午後3時22分~37分
場所:総務省土屋正忠副大臣室
参加者・図友連:F事務局長、I代表補佐、I監事

(図友連参加者名は個人情報保護の観点よりイニシャルとさせていただきます)

○F事務局長より要望書の趣旨説明。

要望1.公立図書館を、「トップランナー方式」による指定管理者制度導入の検討対象から除外してください

図友連:トップランナー方式が総務大臣から出されているが、自治体において公共図書館が検討対象になれば大変なことになると、市民から不安の声があがっている。

土屋副大臣: 私も武蔵野市で市長を20年間やっていた 。駅前にも図書館をつくり、武蔵野プレイスは私の市長時代に新しい時代の図書館を構想した。自治体も職員を効率化していく時代だ。フルタイムの職員1人分で嘱託3人が雇用できる。市長時代は10人の司書を採用した。開館時間も増えているし、効率的な職員体制が必要だ。館長には民間人を採用して、筑波大学などに勉強に行ってもらった。費用対効果がみえることが必要だ。トップランナー方式と言っても図書館を対象にすると明言しているわけではない。検討対象でこれから検討していくという事だ。

要望2.市町村の図書館協議会委員の報酬を、地方交付税の積算根拠に明記して下さい」

図友連:地方交付税の積算根拠に明記してほしいと要望。昨年度文科省より総務省に要望を上げてもらったが、3月文科省から今年度は措置されなかったと回答があった。なぜ今年度は措置されなかったのか。いつ頃文科省より総務省に要望を上げてもらえばいいのかお聞きしたい。

総務省事務方:「今年より措置されています。」と発言あり。

図友連:F事務局長「その点に関して後程、事務方に確認させていただきます。」と発言した。

 

○行政機関の所有する個人情報をビックデータとして利活用する法律*注1 についてI監事より質問した。

 

*注1

*******  土屋正忠 総務副大臣ブログ2016年05月20日 17:30  ******

「世界初の法律成立~行政機関の所有する個人情報を識別出来ないよう加工して、ビッグデータとして利活用する法律、参議院で可決成立」

IT技術の飛躍的発達によって膨大な個人データを集積、匿名加工し分析して、ビッグデータとして活用が出来るようになった。目新しいところでは、2011年東日本大震災の時、津波情報をどのように受けとめ行動したか、NHKが解析しグラフ化して報道した。身近なところでは、コンビニエンスストアのPOSシステムがある。レジに行って代金を支払うと店員さんがデータを打ち込み、本部では売れ筋の商品を分析し配送する。男女別や年代を推定してデータとして活用すると商品開発につなげることが出来る。

グーグルの地区別お天気情報やリアルタイムの渋滞情報なども同様の技術だ。個別のデータを匿名化してビッグデータとして活用すれば新しい産業やビジネスが生まれるのでは?個人情報(パーソナルデータ)を正確かつ膨大に蓄積しているのは行政機関だ。そこで行政機関の個人情報を匿名化した上で利活用できないか、一方行政機関の所有する情報は、各々の法律に基づいて半ば強制的に集めたものであり、個人情報の保護が最優先である。

行政目的以外に利活用する場合でも、肝心の行政執行に差しさわりがあっては本末転倒だ。これらを調整し、個人情報保護を最優先しながらも利活用出来るという法律が、本日参議院本会議で可決したPD法だ。

正式名称は「行政機関等の保有する個人情報の適正かつ効果的な活用による新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するための関係法律の整備に関する法律」である。

世界で初めての法律となるのだが、この執行にあたっては十分国民の理解を得なければならない。

公布後基準となる政令を1年半かけてつくり、平成29年末頃執行となる。

所管は総務省行政管理局で、担当副大臣は私である。

*******  ブログ引用おわり**********************

 

図友連:行政機関が保有する個人情報を行政がビックデータとして使うということか?

副大臣:いや違う。民間企業が行政情報を使うことができるということだ。匿名化して、個人を特定することをできなくした情報を使う。施行まで1年半以上の期間を置いている。ツタヤ等の民間企業が個人情報保護法に触れるとなると当然処罰の対象になる。

 

○6月末までに要望内容について文書での回答を求めた。

(I監事記)

 

<土屋正忠総務副大臣面談後の動き>

○総務省の事務方とお話しできる場を面談後に設定できないか交渉したが、事前申し込みがないということで面談できなかった。

○F務局長から5月26日に総務省大臣官房政策評価広報課情報公開渉外第1係長三宮(さんぐう)友樹氏に問い合わせる。紹介された担当課 総務省財政局交付税課坂本氏に確認したところ今年度から措置されているとの回答あり。

・図書館協議会委員の報酬は 今年度28年度より地方交付税の積算根拠に明記されている。

・措置されていることが、どこに書かれているか尋ねたところ、一般に向けては7月頭くらいに出る「地方交付税制度解説」に金額とともに書かれている。それまでは書かれていることを確認できるものはない。

・6月末までの図友連への要望書に対する文書回答には金額も含め回答をさせてもらう

                               (F事務局長文責)

>> 地方自治を支える公立図書館の振興を求める要望書(総務省宛)

>> 土屋正忠総務副大臣面談報告書(PDF)

>> 参考資料:図書館協議会_制度解説(案)(PDF)

【2016年5月24日】公立図書館の振興を求める要望書(文部科学省宛)

平成28年5月24日

 文部科学大臣 馳 浩 様

図書館友の会全国連絡会  代表 福富洋一郎
(住所省略)
その他賛同88団体

公立図書館の振興を求める要望書

私たちは公立図書館の振興発展を願い、全国各地で活動を行っております。また、国に対しても公立図書館の振興について毎年要望してまいりましたが、この要望を真摯に受け止め、ご尽力いただいておりますことに対し心からお礼を申し上げます。

今日、地方公共団体の財政悪化が引き続く中で、資料費などの図書館経費削減、また、経費削減のための指定管理者制度導入など公立図書館運営の民営化が進み、公立図書館は疲弊し、困難に直面しているように私たちは感じております。

我が国の公立図書館数は2270館(平成7年度)から3241館(平成27年度)へと、1千館近い館数の増がありました。このことは大変喜ばしいことですが、この5年余り頭打ちの状態です。その内情を見ると、図書館の貧しさが進行しているように見えます。公立図書館総体の資料費予算額は321億円(平成17度)から291億円(平成27年度)へと減少し、1館当たりの資料費予算額は1096万円から897万円にまで落ち込みました。

職員数は、正規雇用は1万4206人(平成17年度)から1万485人(平成27年度)に26%減少し、一方、非正規雇用の非常勤・臨時職員(年間実働時間1500時間を1人として換算)は、1万3257人(平成17年度)から1万6575人(平成27年度)に25%増加しました。しかし、この間に最も変化したのは、民営化された図書館で働く職員(年間実働時間1500時間を1人として換算)で、2358人(平成17年度)から1万666人(平成27年度)と、4.5倍に急増しました。非正規職員のほとんどが短時間勤務、1年有期雇用、最低賃金に近い賃金で働いています。図書館運営の要となるべき図書館職員が不安定雇用、低賃金の職員に置き換えられ、図書館を支える人材を育成する基盤は崩壊しつつあるように見えます。

これら公立図書館の貧困化を反映して、公立図書館の貸出総数は平成22年あたりから後退し始めるという事態が起きてしまいました。平成22年度に7億1647万点あった貸出総数は平成26年度には6億9065万点に、2600万点近くも減じました。(統計数値は日本図書館協会の調査による)

これまで我が国の公立図書館は、ゆっくりとしたペースであったものの着実に発展を続けてきました。それは、昭和25年の図書館法の成立から現在に至るまで、多くの人々の努力の積み重ねによるものと考えています。それでもG7と呼ばれた国々の中で格段に立ち遅れている実態は広く知られており、国民としてはとても歯がゆいことです。しかし、G7 の国々においても、国や地方、市民、図書館員などが、長い年月をかけて築きあげたものであり、この努力を抜きにして、図書館の発展はないと考えます。市民が自ら調べ、考え、判断して課題を解決していくための地域における資料・情報の拠点として、民主主義社会を支える根幹となる図書館はそのようにして生まれてくると考えます。

現在の公立図書館はとても看過できない状況にあります。国が、今日の状況に照らして、地方公共団体の図書館の振興、発展のための施策を行うことが求められています。今回、大きく2つの課題について下記の通り要望いたします。ご多用のところ恐縮ですが、6月末日までに図書館友の会全国連絡会代表宛に文書でご回答をお願いします。

1.公立図書館の管理運営を指定管理者制度等民営化の対象から除外してください

平成20年6月、社会教育法等の改正時、衆議院文部科学委員会が「人材確保およびその在り方について、指定管理者制度の導入による弊害についても十分配慮し、検討すること」、また参議院文教科学委員会が「人材確保およびその在り方について検討するとともに、社会教育施設の利便性を図るため、指定管理者制度の導入による弊害についても十分配慮して、適切な管理運営体制の構築を目指すこと」の附帯決議を行い、渡海文部科学大臣(当時)から「公立図書館に指定管理者制度はなじまない」との国会答弁がありました。

これらの附帯決議については、附帯決議冒頭において「政府及び関係者は特段の配慮をなすべきである」と書かれています。しかし、これまでの8年間、それらに対応した施策が行われたようには見えません。この間、これらの警鐘を省みることなく、指定管理者制度導入など図書館の民営化を強引に進める地方公共団体は後を絶ちません。しかも住民には十分な説明がないまま、今も民営化が進んでいます。

平成27年8月、指定管理者制度導入の成功例として全国的に喧伝された九州の都市において、大量の中古書が購入されていたことが発覚し大きな問題になりました。続いて9月、同一の民間事業者が指定管理を受けた関東の都市においても、不適切な蔵書購入が問題となり、図書館としての社会的使命を果たすよりも、自社の利潤拡大を最優先させていることが、多くの人の目の前に明らかになりました。私たちは、本の流通に関係する業者が指定管理者になり、本の選定・購入権を委ねれば、営利を優先した資料の選定・購入が起きるだろうと危惧してきましたが、問題の一端が現れたと考えています。

以上のことから私たちは下記3点を要望します。

(1)平成27年11月、総務省は「経済・財政一体改革の具体化・加速に向けた地方行財政の取組について」の中で、図書館等の教育機関に平成29年度以降トップランナー方式導入を検討すると記しました。トップランナー方式を導入すれば、地方交付税の中の図書館算定分が削減され、図書館への指定管理者制度導入が促進されてしまいます。経費削減と引き換えに図書館の設置目的が損なわれることのないように、図書館にはトップランナー方式を導入しないように働きかけてください。

(2)当面、公立図書館を所管する文部科学大臣として、公立図書館の振興を図るために、指定管理者制度について、平成20年の文部科学大臣答弁を超える表明を行ってください。また、公立図書館を指定管理者制度の対象から除外する施策を実施するようにしてください。

(3)指定管理者制度を導入した図書館の実態を調査し、その問題点を明らかにし、適切な管理運営体制を構築するための施策を講じてください。

2.公立図書館に図書館協議会を設置する法改正を行ってください

図書館協議会に関し平成27年5月に提出した私たちの要望に対して、ご尽力いただきましたことに感謝申しあげます。改めて申し上げるまでもなく、図書館法に規定する図書館協議会は、公立図書館がその地域に即したサービス・活動を展開するために必要不可欠な制度です。しかし、任意設置であるために設置しない市区町村が多数あり、また、類似の組織を設置し図書館協議会の肩代わりをさせるなど、図書館協議会の重要性が十分に認識されていないのは残念なことです。

先ずは国において全国の図書館協議会の現状をしっかりと把握し、図書館協議会が図書館の振興発展に力を発揮できるようにするための有効な施策を行ってください。

この図書館協議会に関し、私たちは下記3点を要望します。

(1)図書館法第14条第1項「公立図書館に図書館協議会を置くことができる。」を「公立図書館に図書館協議会を置く。」に改正して下さい。また、図書館協議会委員の任命はいわゆる公募枠を設ける法改正等の措置を行ってください。

(2)地方交付税措置に関し、市町村立図書館の図書館協議会委員の報酬に関して、都道府県立図書館と同様に積算根拠に明記することについて、総務省とともに引き続き取り組んでください。

(3)平成27年度実施の「公立図書館の実態に関する調査研究」のとりまとめをなるべく早く公開してください。

以上

 連絡先  図書館友の会全国連絡会事務局長 船橋佳子

※個人情報保護の観点より事務局等の連絡先はホームページでは非公開とさせていただきます。お問い合せは図友連HPメールフォームよりお願いいたします。

 >> 【2016年5月24日】公立図書館の振興を求める要望書(文部科学省宛・賛同団体一覧付PDF)

【2016年5月24日】地方自治を支える公立図書館の振興を求める要望書(総務省宛)

平成28年5月24日

総務大臣 高市早苗 様

図書館友の会全国連絡会 代表 福富洋一郎
(住所省略)
その他賛同88団体

地方自治を支える公立図書館の振興を求める要望書

私たちは公立図書館の振興発展を願い、全国各地で活動を行っております。また、国に対しても公立図書館の振興について毎年要望してまいりましたが、この要望を真摯に受け止め、ご尽力いただいておりますことに対し心からお礼を申し上げます。

今日、地方公共団体の財政悪化が引き続く中で、資料費などの図書館経費削減、また、経費削減のための指定管理者制度導入など公立図書館運営の民営化が進み、公立図書館は疲弊し、困難に直面しているように私たちは感じております。

これまで我が国の公立図書館は、ゆっくりとしたペースであったものの着実に発展を続けてきました。それは、昭和25年の図書館法の成立から現在に至るまで、多くの人々の努力の積み重ねによるものと考えています。それでもG7と呼ばれた国々の中で格段に立ち遅れている実態は広く知られており、国民としてはとても歯がゆいことです。しかし、G7 の国々においても、国や地方、市民、図書館員などが、長い年月をかけて築きあげたものであり、この努力を抜きにして、図書館の発展はないと考えます。市民が自ら調べ、考え、判断して課題を解決していくための地域における資料・情報の拠点として、民主主義社会を支える根幹となる図書館はそのようにして生まれてくると考えます。

現在の公立図書館はとても看過できない状況にあります。国が、今日の状況に照らして、地方公共団体の図書館の振興、発展のための施策を行うことが求められています。今回、大きく2つの課題について下記の通り要望いたします。ご多用のところ恐縮ですが、6月末日までに図書館友の会全国連絡会代表宛に文書でご回答をお願いします。

1.      公立図書館を、「トップランナー方式」による指定管理者制度導入の検討対象から除外してください

平成20年6月、社会教育法等の改正時、衆議院文部科学委員会が「人材確保およびその在り方について、指定管理者制度の導入による弊害についても十分配慮し、検討すること」、また参議院文教科学委員会が「人材確保およびその在り方について検討するとともに、社会教育施設の利便性を図るため、指定管理者制度の導入による弊害についても十分配慮して、適切な管理運営体制の構築を目指すこと」の附帯決議を行い、渡海文部科学大臣(当時)から「公立図書館に指定管理者制度はなじまない」との国会答弁がありました。

これらの附帯決議については、附帯決議冒頭において「政府及び関係者は特段の配慮をなすべきである」と書かれています。しかし、これまでの8年間、それらに対応した施策が行われたようには見えません。この間、これらの警鐘を省みることなく、指定管理者制度導入など図書館の民営化を強引に進める地方公共団体は後を絶ちません。しかも住民には十分な説明が無いまま、今も民営化が進んでいます。

平成27年8月、指定管理者制度導入の成功例として全国的に喧伝された九州の都市において大量の中古書が購入されていたことが発覚し大きな問題になりました。続いて9月、同一の民間会社が指定管理を受けた関東の都市においても、不適切な蔵書購入が問題となり,図書館としての社会的使命を果たすよりも、自社の利潤拡大を最優先させていることが、多くの人の目の前に明らかになりました。私たちは、本の流通に関係する業者が指定管理者になり、本の選定・購入権を委ねれば、営利を優先した資料の選定・ 購入が起きるだろうと危惧してきましたが、問題の一端が現れたと考えています。

平成27年11月、貴省は「経済・財政一体改革の具体化・加速に向けた地方行財政の取組について」の中で、図書館等の教育機関に平成29年度以降トップランナー方式導入を検討すると記しました。トップランナー方式を導入すれば、地方交付税の中の図書館算定分が削減され、図書館への指定管理者制度導入が促進されてしまいます。

図書館は「民主主義の砦」といわれるように、その働きは教育機関の範囲にとどまるものではありません。「民主政治の基盤の確立」「自立的な地域社会の形成」(総務省設置法第3条)を任務の一つとする貴省にも深くかかわる機関です。経費削減と引き換えに図書館の設置目的が損なわれるならば、本末転倒ではないでしょうか。

2.市町村の図書館協議会委員の報酬を、地方交付税の積算根拠に明記して下さい

図書館法に規定する図書館協議会は、図書館がその地域に即したサービス・活動を展開するという原則を実現するために必要不可欠な制度です。しかし、都道府県立図書館の図書館協議会委員の報酬は地方交付税の積算対象となっていますが、市町村立図書館の図書館協議会委員の報酬は対象外となっています。図書館協議会の必要性は、都道府県においても、市町村においても変わることはないと思います。

このことについて、昨年貴省にお伺いしましたところ、文部科学省から要求が出ていないことを理由としてあげられました。それで、文部科学省に要望し、貴省に要求を出していただきましたが、平成28年度は認められなかったとの回答がありました。平成29年度は、市町村立図書館の図書館協議会委員の報酬を、都道府県立図書館と同様に地方交付税の積算根拠に明記して下さい。

以上

連絡先  図書館友の会全国連絡会事務局長 船橋佳子

※個人情報保護の観点より事務局等の連絡先はホームページでは非公開とさせていただきます。お問い合せは図友連HPメールフォームよりお願いいたします。

>> 【2016年5月24日】地方自治を支える公立図書館の振興を求める要望書(総務省宛・賛同団体一覧付きPDF)

【2016年2月19日】逗子市立図書館への指定管理者制度導入再考を求める要望書

平成28年2月19日

逗子市市長 平井竜一様

私たちの図書館を考える会・逗子 代表 長谷川 静
図書館友の会全国連絡会 代表 福富洋一郎

 

逗子市立図書館への指定管理者制度導入再考を求める要望書

 

平素よりの市政へのご尽力につきまして、改めて敬意を表します。

「私たちの図書館を考える会・逗子」は市立図書館が市の責任において運営され、真に市民のための図書館であることを願う市民の会です。また「図書館友の会全国連絡会」は、公立図書館の充実と発展を求めて活動している全国組織です。

この度、逗子市立図書館では2年前に議会で否決されたにもかかわらず、(株)パブリックサービス社への特命を前提とした指定管理者制度を導入するための「逗子市立図書館条例全部改正案」を次回の市議会に上程すると伺いました。私たちは2月14日に緊急市民集会を開催し、現時点における指定管理者制度の導入の是非について学習し、意見交換をしました。その結果、下記の理由により指定管理者制度の導入を再考されるよう強く要望いたします。また指定管理者制度導入の趣旨やデメリットへの対応策、そして市立図書館の将来像が分らない等の市民の声に応えるために、2月29日までにご回答いただけますようお願い申し上げます。

要望理由

1.逗子市では「民間委託等ロードマップ(第2期)」のもと、図書館も指定管理者制度導入の対象として、導入の第一の目的を「市民協働型運営」にあると説明しているが、そもそも「市民協働型運営」の図書館とは何か不明。特命で指定管理者となる(株)パブリックサービス社の株式を逗子市が51%保有しているからか?

もし、逗子市が民間の株式会社の経営に関与することを考えているなら、それは、会社法に抵触する「偽装指定管理」に該当するのではないか?

2.現状は、図書館は市民にとって欠かすことができない社会教育施設として設置目的を効果的に達成していると評価しているのに、なぜ今(株)パブリックサービス社を指定管理者としなければならないか説明して欲しい。

3.(株)パブリックサービス社は現状においては、社会教育機関である図書館運営の経験は皆無であり、平成27年4月から指定管理者となった「市民交流センター」など先行事例では、社員が交替し不親切などの声も聞かれる。専門性と継続性が要求される図書館の運営を特命で任せるのに問題はないのか?どのようにデメリット対応を行うのか?

4.指定管理者制度を策定した総務省や図書館を管轄する文部科学省が「公立図書館への指定管理者制度の導入はなじまない」とし、「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」等で詳細を規定している。使用料を徴収することが禁止されている公立図書館で全くの民間ノウハウのない(株)パブリックサービス社が、仮に民間会社の経営に破綻した場合の責任は誰が持つのか?

5.長年にわたる逗子市立図書館の非常勤職員問題を解決することはもとより市民の望むところである。しかし、それは指定管理者制度を導入しなくても可能である。給与体系の自由度を高め、能力に応じた処遇を通じて職員のモチベーションアップを期待して指定管理者制度を導入したと説明しているが、直営では職員のモチベーションアップは不可能か?その理由は?

6.指定管理者制度を一度実施してから直営に戻った他の図書館の話では、指定管理の図書館長は市議会や教育委員会に出席できず、公の場では発言できなかったそうだ。準公務員の非常勤特別職として出席している現図書館長とは違い、民間会社の社員となった場合、図書館長は参考人としてしか出席できない。これでは市民や現場の声が反映されないのでは?

7.指定管理者制度の導入は逗子市立図書館のあり方を左右する重要施策と考えるので、拙速は避け、パブリックコメントなどを実施し市民の意見をよく聞いてほしい。説明責任を果たすために説明会を開催し、市民協働の概念を説明する考えはないか?逗子市市民参加条例はなぜ活用されないのか?

以上

 

連絡先:図書館友の会全国連絡会 事務局

※(住所・TEL省略)

※個人情報保護の観点より事務局の連絡先はホームページでは非公開とさせていただきます。お問い合せは図友連HP http://totomoren.net/メールフォームよりお願いいたします。

>> 逗子市立図書館への指定管理者制度導入再考を求める要望書(PDF)