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【2016年5月24日】地方自治を支える公立図書館の振興を求める要望書(総務省宛)

平成28年5月24日

総務大臣 高市早苗 様

図書館友の会全国連絡会 代表 福富洋一郎
(住所省略)
その他賛同88団体

地方自治を支える公立図書館の振興を求める要望書

私たちは公立図書館の振興発展を願い、全国各地で活動を行っております。また、国に対しても公立図書館の振興について毎年要望してまいりましたが、この要望を真摯に受け止め、ご尽力いただいておりますことに対し心からお礼を申し上げます。

今日、地方公共団体の財政悪化が引き続く中で、資料費などの図書館経費削減、また、経費削減のための指定管理者制度導入など公立図書館運営の民営化が進み、公立図書館は疲弊し、困難に直面しているように私たちは感じております。

これまで我が国の公立図書館は、ゆっくりとしたペースであったものの着実に発展を続けてきました。それは、昭和25年の図書館法の成立から現在に至るまで、多くの人々の努力の積み重ねによるものと考えています。それでもG7と呼ばれた国々の中で格段に立ち遅れている実態は広く知られており、国民としてはとても歯がゆいことです。しかし、G7 の国々においても、国や地方、市民、図書館員などが、長い年月をかけて築きあげたものであり、この努力を抜きにして、図書館の発展はないと考えます。市民が自ら調べ、考え、判断して課題を解決していくための地域における資料・情報の拠点として、民主主義社会を支える根幹となる図書館はそのようにして生まれてくると考えます。

現在の公立図書館はとても看過できない状況にあります。国が、今日の状況に照らして、地方公共団体の図書館の振興、発展のための施策を行うことが求められています。今回、大きく2つの課題について下記の通り要望いたします。ご多用のところ恐縮ですが、6月末日までに図書館友の会全国連絡会代表宛に文書でご回答をお願いします。

1.      公立図書館を、「トップランナー方式」による指定管理者制度導入の検討対象から除外してください

平成20年6月、社会教育法等の改正時、衆議院文部科学委員会が「人材確保およびその在り方について、指定管理者制度の導入による弊害についても十分配慮し、検討すること」、また参議院文教科学委員会が「人材確保およびその在り方について検討するとともに、社会教育施設の利便性を図るため、指定管理者制度の導入による弊害についても十分配慮して、適切な管理運営体制の構築を目指すこと」の附帯決議を行い、渡海文部科学大臣(当時)から「公立図書館に指定管理者制度はなじまない」との国会答弁がありました。

これらの附帯決議については、附帯決議冒頭において「政府及び関係者は特段の配慮をなすべきである」と書かれています。しかし、これまでの8年間、それらに対応した施策が行われたようには見えません。この間、これらの警鐘を省みることなく、指定管理者制度導入など図書館の民営化を強引に進める地方公共団体は後を絶ちません。しかも住民には十分な説明が無いまま、今も民営化が進んでいます。

平成27年8月、指定管理者制度導入の成功例として全国的に喧伝された九州の都市において大量の中古書が購入されていたことが発覚し大きな問題になりました。続いて9月、同一の民間会社が指定管理を受けた関東の都市においても、不適切な蔵書購入が問題となり,図書館としての社会的使命を果たすよりも、自社の利潤拡大を最優先させていることが、多くの人の目の前に明らかになりました。私たちは、本の流通に関係する業者が指定管理者になり、本の選定・購入権を委ねれば、営利を優先した資料の選定・ 購入が起きるだろうと危惧してきましたが、問題の一端が現れたと考えています。

平成27年11月、貴省は「経済・財政一体改革の具体化・加速に向けた地方行財政の取組について」の中で、図書館等の教育機関に平成29年度以降トップランナー方式導入を検討すると記しました。トップランナー方式を導入すれば、地方交付税の中の図書館算定分が削減され、図書館への指定管理者制度導入が促進されてしまいます。

図書館は「民主主義の砦」といわれるように、その働きは教育機関の範囲にとどまるものではありません。「民主政治の基盤の確立」「自立的な地域社会の形成」(総務省設置法第3条)を任務の一つとする貴省にも深くかかわる機関です。経費削減と引き換えに図書館の設置目的が損なわれるならば、本末転倒ではないでしょうか。

2.市町村の図書館協議会委員の報酬を、地方交付税の積算根拠に明記して下さい

図書館法に規定する図書館協議会は、図書館がその地域に即したサービス・活動を展開するという原則を実現するために必要不可欠な制度です。しかし、都道府県立図書館の図書館協議会委員の報酬は地方交付税の積算対象となっていますが、市町村立図書館の図書館協議会委員の報酬は対象外となっています。図書館協議会の必要性は、都道府県においても、市町村においても変わることはないと思います。

このことについて、昨年貴省にお伺いしましたところ、文部科学省から要求が出ていないことを理由としてあげられました。それで、文部科学省に要望し、貴省に要求を出していただきましたが、平成28年度は認められなかったとの回答がありました。平成29年度は、市町村立図書館の図書館協議会委員の報酬を、都道府県立図書館と同様に地方交付税の積算根拠に明記して下さい。

以上

連絡先  図書館友の会全国連絡会事務局長 船橋佳子

※個人情報保護の観点より事務局等の連絡先はホームページでは非公開とさせていただきます。お問い合せは図友連HPメールフォームよりお願いいたします。

>> 【2016年5月24日】地方自治を支える公立図書館の振興を求める要望書(総務省宛・賛同団体一覧付きPDF)

【2016/5/24】文部科学省事務担当者との面談報告書

文部科学省事務担当者との面談報告書

日時:2016年5月24日(火)午後3時35分~4時35分
場所:文部科学省 文化庁会議室
参加者:
文部科学省:生涯学習政策局 社会教育課 課長補佐 塚田 昌毅氏          図書館振興係(人権・高齢者教育担当)  係長 村上 壮一氏
図友連:福富洋一郎代表、A事務局長補佐、K運営委員

【はじめに】

○福冨代表より毎年の経緯を説明。

毎年、文部科学大臣にお願いするにあたり、副大臣と面談した後、社会教育課、図書館振興係の方と打ち合わせをさせて頂き、やり取りをして、少しずつ成果を上げてきました。結果はホームページで公開しています。毎年、文書で回答をお願いしています。

今回は、民営化と図書館協議会の法制化についての2つの問題に絞ってお願いしています。

【要望1】

要望1.公立図書館の管理運営を指定管理者制度等民営化の対象から除外してください

○福冨代表より要望1.の趣旨説明。

詳細内容

(1)図書館にはトップランナー方式を導入しないように働きかけてください。

(2)指定管理者制度について、平成20年の文部科学大臣答弁を超える表明を行ってください。

また、公立図書館を指定管理者制度の対象から除外する施策を実施するようにしてください。

(3)指定管理者制度を導入した図書館の実態を調査し、その問題点を明らかにし、適切な管理運営体制を構築するための施策を講じてください。

○塚田課長補佐

*要望の趣旨は理解しました。

*トップランナー方式について

先ほど副大臣のところで話がありましたように、繰り返しになりますが、図書館の担当としてご回答差し上げます。

トップランナー方式については、総務省において平成29年度以降に導入を検討するものとして図書館も対象に入っています。図書館だけでなく、交付税の単位費用に計上されている総ての事業について検討の対象です。現在、総務省がどの位検討しているかわからない、検討中という事です。

今は、文科省としては検討していないと言うことしか言えない。

ただ、文科省としては、もしトップランナー方式の導入で、図書館の本来あるべき目的に沿わないようなことにならないよう、注視して行きたいと思っています。当方に相談等なく平成29年度からやるという事にはならないようにしていきたい。

○A事務局長補佐

・総務省から何か言ってきたら、対応するという事ですか。

○塚田課長補佐

・調整する場があるのか、意見を言える場があるのか、タイミングがあるのか、現在は、わからない。

○福冨代表

図友連から総務大臣に要望書を出しております。

○K運営委員

総務省にも同じように要望書の1として

1.  公立図書館を、「トップランナー方式」による指定管理者制度導入の検討対象から除外してください

と明確に出しています。こちらも回答を6月末までに求めていいます。

○塚田課長補佐

トップランナー方式は図書館のことだけでなく、全体のことなので、いろいろ検討して行きたい。

 

【要望2】

要望2.公立図書館に図書館協議会を設置する法改正を行ってください

○福冨代表より要望2. (1)(2)の趣旨説明。

詳細内容

(1)図書館法第14条第1項を「公立図書館に図書館協議会を置く。」に改正して下さい。また、委員の任命は公募枠を設ける法改正等の措置を行ってください。

(2)市町村立図書館の図書館協議会委員の報酬に関して、積算根拠に明記するよう取り組んでください。

○塚田課長補佐

総務省に(市町村立図書館の図書館協議会委員の報酬に関して、積算根拠に明記すること)要望はしている。今は、回答待ちです。

○K運営委員

総務省にも同じように要望書の2として

2.市町村の図書館協議会委員の報酬を、地方交付税の積算根拠に明記して下さい

と要望しています。

○福冨代表より要望2. (3)の趣旨説明。

(3)平成27年度実施の「公立図書館の実態に関する調査研究」のとりまとめをなるべく早く公開してください。

○A事務局長補佐

調査で、市民に活用されている良い図書館を事例としてあげて頂ければ。

 

【その他】

○福冨代表

神奈川県立図書館について、神奈川県と川崎市との図書館関連などの説明。

○A事務局長補佐

図書館法第14条第1項は「・・・協議会を置くことができる」となっている、これを「・・・協議会を置く。」にしてもらいたい。協議会を置く限りは、市民委員を入れてもらいたい。

○K運営委員

多摩市の図書館状況の説明。施設の老朽化による7館を3館にすることなどの問題があり、中央図書館がないので、中央図書館を含めた全体的なサービス網を考えている最中です。

6月18日に文字・活字文化推進機構が「知の地域づくりを考えるin多摩市」を開催します。

○A事務局長補佐

ツタヤパンフレットの説明、改訂版を出すことも考えています。

○福冨代表

実態として、海老名市を見てもらいたい。

○A事務局長補佐

公共図書館の中で、市民に活用されている良い図書館を実際に見て来られることをお薦めします。

○福冨代表

学校図書館問題、学校司書の配置に対する状況の説明。

公共図書館の議員連盟についての考え方の説明。

○塚田課長補佐

図書館政策について、良い方向へ持って行きたい。

 

追記

文部科学省事務方打合の記録について

【K運営委員】

この打合せの記録は、図友連内でオープンにする前に、塚田課長補佐に確認をお願いいたします、

【塚田課長補佐】

わかりました。

以上

(図友連参加者名は代表者を除き個人情報保護の観点よりイニシャルとさせていただきます)

>> 【2016/5/24】文部科学省事務担当者との面談報告書(PDF)

>> 【2016/5<24】公立図書館の振興を求める要望書(文部科学省宛)

【2016/5/24】義家弘介文部科学副大臣面談報告書

義家弘介文部科学副大臣面談報告書

日時:2016年5月24日(火)午後3時00分~24分
場所:文部科学省 義家弘介副大臣室
参加者・図友連:福富洋一郎代表、A事務局長補佐、R運営委員、W会員、K運営委員。

○福冨代表より要望書の趣旨説明。

(詳細:文部科学大臣 馳 浩 様 公立図書館の振興を求める要望書 平成28年5月24日 参照

要望1.公立図書館の管理運営を指定管理者制度等民営化の対象から除外してください

要望内容

(1)図書館にはトップランナー方式を導入しないように働きかけてください。

(2)指定管理者制度について、平成20年の文部科学大臣答弁を超える表明を行ってください。また、公立図書館を指定管理者制度の対象から除外する施策を実施するようにしてください。

(3)指定管理者制度を導入した図書館の実態を調査し、その問題点を明らかにし、適切な管理運営体制を構築するための施策を講じてください。

要望2.公立図書館に図書館協議会を設置する法改正を行ってください

要望内容

(1)図書館法第14条第1項を「公立図書館に図書館協議会を置く。」に改正して下さい。また、委員の任命は公募枠を設ける法改正等の措置を行ってください。

(2)市町村立図書館の図書館協議会委員の報酬に関して、積算根拠に明記するよう取り組んでください。

(3)平成27年度実施の「公立図書館の実態に関する調査研究」のとりまとめをなるべく早く公開してください。

 

【義家副大臣】

図書館は重要な社会教育施設と考えている。市民参加があって、地域の文化が生まれる。図書館は地域に愛される生涯学習の場である。

指定管理者制度の導入については、ジレンマを抱えている。地方分権の中で、文部科学省として駄目だとは言えないし、民間だから駄目だとも言えない。

学校図書館について言えば、特に義務教育では、子供たちが図書館を利活用できる環境の整備が重要であると考えている。国内の学校教育に大きな格差があってはいけない。少なくとも、ナショナルミニマムを確保する施策を文部科学省は取るべきである。

今後も適切に対応していきたい。

 

<義家弘介部科学副大臣面談後の動き>

○文部科学省の事務方と面談。詳細は面談記録参照。

(文責:K運営委員)

 

(図友連参加者名は代表者を除き個人情報保護の観点よりイニシャルとさせていただきます)

>> 【2016/5/24】義家弘介文部科学副大臣面談報告書(PDF)

【2016年2月19日】逗子市立図書館への指定管理者制度導入再考を求める要望書

平成28年2月19日

逗子市市長 平井竜一様

私たちの図書館を考える会・逗子 代表 長谷川 静
図書館友の会全国連絡会 代表 福富洋一郎

 

逗子市立図書館への指定管理者制度導入再考を求める要望書

 

平素よりの市政へのご尽力につきまして、改めて敬意を表します。

「私たちの図書館を考える会・逗子」は市立図書館が市の責任において運営され、真に市民のための図書館であることを願う市民の会です。また「図書館友の会全国連絡会」は、公立図書館の充実と発展を求めて活動している全国組織です。

この度、逗子市立図書館では2年前に議会で否決されたにもかかわらず、(株)パブリックサービス社への特命を前提とした指定管理者制度を導入するための「逗子市立図書館条例全部改正案」を次回の市議会に上程すると伺いました。私たちは2月14日に緊急市民集会を開催し、現時点における指定管理者制度の導入の是非について学習し、意見交換をしました。その結果、下記の理由により指定管理者制度の導入を再考されるよう強く要望いたします。また指定管理者制度導入の趣旨やデメリットへの対応策、そして市立図書館の将来像が分らない等の市民の声に応えるために、2月29日までにご回答いただけますようお願い申し上げます。

要望理由

1.逗子市では「民間委託等ロードマップ(第2期)」のもと、図書館も指定管理者制度導入の対象として、導入の第一の目的を「市民協働型運営」にあると説明しているが、そもそも「市民協働型運営」の図書館とは何か不明。特命で指定管理者となる(株)パブリックサービス社の株式を逗子市が51%保有しているからか?

もし、逗子市が民間の株式会社の経営に関与することを考えているなら、それは、会社法に抵触する「偽装指定管理」に該当するのではないか?

2.現状は、図書館は市民にとって欠かすことができない社会教育施設として設置目的を効果的に達成していると評価しているのに、なぜ今(株)パブリックサービス社を指定管理者としなければならないか説明して欲しい。

3.(株)パブリックサービス社は現状においては、社会教育機関である図書館運営の経験は皆無であり、平成27年4月から指定管理者となった「市民交流センター」など先行事例では、社員が交替し不親切などの声も聞かれる。専門性と継続性が要求される図書館の運営を特命で任せるのに問題はないのか?どのようにデメリット対応を行うのか?

4.指定管理者制度を策定した総務省や図書館を管轄する文部科学省が「公立図書館への指定管理者制度の導入はなじまない」とし、「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」等で詳細を規定している。使用料を徴収することが禁止されている公立図書館で全くの民間ノウハウのない(株)パブリックサービス社が、仮に民間会社の経営に破綻した場合の責任は誰が持つのか?

5.長年にわたる逗子市立図書館の非常勤職員問題を解決することはもとより市民の望むところである。しかし、それは指定管理者制度を導入しなくても可能である。給与体系の自由度を高め、能力に応じた処遇を通じて職員のモチベーションアップを期待して指定管理者制度を導入したと説明しているが、直営では職員のモチベーションアップは不可能か?その理由は?

6.指定管理者制度を一度実施してから直営に戻った他の図書館の話では、指定管理の図書館長は市議会や教育委員会に出席できず、公の場では発言できなかったそうだ。準公務員の非常勤特別職として出席している現図書館長とは違い、民間会社の社員となった場合、図書館長は参考人としてしか出席できない。これでは市民や現場の声が反映されないのでは?

7.指定管理者制度の導入は逗子市立図書館のあり方を左右する重要施策と考えるので、拙速は避け、パブリックコメントなどを実施し市民の意見をよく聞いてほしい。説明責任を果たすために説明会を開催し、市民協働の概念を説明する考えはないか?逗子市市民参加条例はなぜ活用されないのか?

以上

 

連絡先:図書館友の会全国連絡会 事務局

※(住所・TEL省略)

※個人情報保護の観点より事務局の連絡先はホームページでは非公開とさせていただきます。お問い合せは図友連HP http://totomoren.net/メールフォームよりお願いいたします。

>> 逗子市立図書館への指定管理者制度導入再考を求める要望書(PDF)