【2018.5.29】文部科学省事務方面談報告書

日時:平成30年5月29日 11:30~12:10
場所:文部科学省会議室
面談者:文部科学省生涯学習政策局社会教育課 運営支援係長(施設担当)久保晃一氏、法規係長 楠 明香里氏
<図友連>代表以下8名

<図友連>

これまで文書回答でなくて口頭でお願いするということで、この事務方との会議の議事録をオープンにするという方法を取ってきました。我々は全国の会員に報告しなければならないので、今年もそのようにさせていただければと思っております。よろしくお願いします。

<文科省>

いただいたご要望に対して、回答させていただくというというほうがよろしいでしょうか。

<図友連>

そうですね。我々も今年は大議論して、5点に絞って要望しました。それをひとつずつ回答していただき、そのあとその他ということでよろしくお願いします。

<文部科学省>

指定管理者制度の導入については、設置者が判断することで、第一に、利用者に対する一般サービスの充実に資するように配慮しつつ、設置者である地方公共団体において議論していただくものです。導入の後に戻すということも、議論の上ではあり得ると考えます。1の(1)については、指定管理者制度の問題点というところだけに注目して調査するのは難しいところです。1の(2)については、文科省として補助金は廃止されていますが、指定管理者制度の導入に関連して判断されるものではないと認識しています。

<図友連>

それでは1番の指定管理の問題について補足説明しますと、図書館への指定管理制度導入は、渡海元文科大臣がそぐわないと発言されましたが、最近はさらに一段強めて、図書館学専門家の山口源二郎教授が、そぐわないどころか、民主主義の根幹を破壊する制度であるとおっしゃっています。指定管理制度の導入は、地方公共団体が決めることであって、文科省が決めることではないということは承知したうえで強く要望しています。指定管理を導入している図書館以外の公の施設では、メリットデメリット議論があるかもしれませんが、こと公立図書館に関しては、そぐわないどころか民主主義の根幹を破壊するという学者も出てきた新たな段階と、一旦導入した福岡県小郡市や山口県下関市などは課題があるために直営に戻っています。最近、茨城県守谷市が直営に戻す方針が出て話題になっています。市民側からも情報が出ているので、文科省として、本当にどんなメリットもあるのか、まず(1)は、学者が言っていることが正しいかの実態を調査して欲しいという要望です。片山善博元総務大臣の講演録を読むと、指定管理者制度導入を明確に否定しています。

それから(2)のところは、少なくとも補助金とか起債許可の対象にしないように、文科省として、各省庁に徹底していただきたい。各省庁に要望すると、文科省が図書館について管轄しているので、文科省が言ってこない限りは、図書館法を考えずに図書館を整備して、賑やかないいのができますと言われてしまいます。愛知県小牧市では、住民投票で反対されようと市長としては駅前にとにかく賑やかな図書館を作ると言っています。例えば神奈川県海老名市は、図書館法における図書館を作るのですかと市長さんに聞きました。もし“図書館アミューズメントセンター”を作るのなら、私は文句を言わずむしろ褒めるかもしれませんと言ったら、“図書館法に基づく図書館を今回作った”と言っているので、文科省の調査と見解を出していただきたいと思います。ということで、1番について(1)(2)を出しました。私以外に言いたい方、どうぞ。

<図友連>

去年、一昨年でしたか、トップランナー方式、総務省の方でいったん出されて、具合が悪いということで、文科省もふくめて判断をされ、撤回されたと思う。誘導策としては、こういったものが頭の中にある。メリットデメリットがあるというふうな形じゃなくって、やっぱり問題点があれば問題点があるということを示していっていただきたい。図書館法に定めている設置目的からしてね、その設置目的を果たすような施設なのかどうなのか、ということについて、なんらかのやっぱり見解を、それぞれの住民から求められた時には示してほしいなというふうに思うその点についてはどうか。いわゆる文科省でそういう法律を作って、図書館という仕組みを作っているということやから、その仕組みに合っているかどうか、ということが市民感情としては非常に気になるところだ。

<文部科学省>

繰り返しになりますが、地方公共団体がそれぞれの地域の実情に応じて判断されるものであるため、設置者において適切に判断いただきたいと考えます。メリットデメリットについては、まさに直営に戻したところがあるというお話しをうかがっているが、そういったものもぜひ情報提供いただきたいと考えています。

<図友連>

そうですね。昨日図友連は総会を午前中にやって、午後はお互いの情報を交換しました。もうお読みになったかもしれませんが、茨城県守谷市では、今年から指定管理を入れたところ問題が発生して、指定管理会社の責任者が議会で謝罪したそうです。その後、図書館協議会で一生懸命検証して、守谷市長が指定管理は止めるという方向性をきちんと出したそうです。図友連のメンバーが発表したので、みんなから質問が出ました。その情報は、毎日新聞の茨城版に出て、まだ全国版に出ていないホットなものです。文科省の方にも、必要情報は送るようにしたいと思いますので、ぜひ実態を調べていただきたい。それから、福岡県小郡市のときには小郡市の職員だった永利和則さんという方が、そのまま出向して新しい指定管理図書館の館長になったのですが、教育委員会の情報が入らないなど、非常に困ったそうです。横浜市では、指定管理を導入した公の施設は900位ありますが、図書館は1館だけなのです。全18館の18分の1。公園とかスポーツセンターなどは指定管理の導入は多いですが、指定管理の中で導入率が一番少ないのが図書館。問題点を抱えているからこそ、みんな慎重にやっているのが、ある意味現実かなと思います。他の方、指定管理についてもしあればどうぞ。

<図友連>

特に、今のように、人手不足のとこも問題が露呈してきて、仕事自身が回らないからどんどんこんなことじゃ生活できへんということもあって採用された人もやめていっていくと、だから指定管理でとったのに実際には回らくて社長が謝りに行くっていうのはそのさっきの守谷の例ですよね。

<図友連>

それと新しい情報では、指定管理の会社として「ツタヤ図書館」は問題だが、大手の会社ならまかしておけば大丈夫だ、という話が出ていますが、企業分析をすると、競合会社間での指定管理者の決め方や、会社の社員のワーキングプア問題など課題が浮かび上がってきます。

<図友連>

抜け道が、あくどいと思いますよね

<図友連>

私は民間会社で働いてきたので、あくどいというより、民間企業では当たり前の行動だと思います。民間会社は利益を出すのが目的であり、問題は、本当に社会教育施設の運営を民間会社に任せていいのか、というところが問われていると思います。2番に進めさせていただきますと、2番目は図書館協議会の問題です。

<文部科学省>

図書館協議会については、地域住民のニーズを汲み取り、図書館自体が適切に応えていくために必要な機関でありますので、各種機会を通じて、設置を促しているところです。ご案内のとおり、市町村の図書館協議会の報酬について、地方交付税の増額が認められたところ、各地でより一層活発な取組が展開されることを期待しています。(1)については、実態として、社教調査では、設置率は年々伸びており、平成27年の調査研究においてでは、回数や人数の平均から算出している部分がございますので、参照していただきたい。(2)については利用者の声を十分反映して運営を行うために、設置者である地方公共団体の判断によっては、委員の公募も必要であると考えられる。基準についても条例で定めるということになっており、その事例等については、各種会議で周知をしていきたいと思います。(3)で、協議会が連絡、提携する組織の設置も必要な場合もあるかと考えますが、地方分権の趣旨を鑑みると、設置者である地方公共団体が地域の実情に応じて設置運営をするというのが基本となります。

<図友連>

ありがとうございました。図書館協議会についてはここ数年言い続けています。昨年の総務省への要望では、文科省も同じ立場で言っていただき、一歩前進することが出来、ありがとうございました。細かいことになるのですが、この前報告された調査研究は、我々の目で見ると問題があると思います。補足説明にあるように、報酬額が低く報告されており、実態を表わしていないので、使う側から言えば問題だと思っています。

<図友連>

単純に言いますとこの今ここに出ている金額では実際に図書館協議会を開く予算が立てられないということで、果たしてこういった調査のやり方が妥当なのかというところです。そもそも図書館協議会の報酬額そのものを調査していただければそれで平均額というのがわかって、より参考になるものが出るはずで、こういった調査で、報酬額の平均が出ていないということに、最初は我々の中でもなかなかそういったことが、出てるに違いないというふうに思っていたところが、よく読んでもそこは出ていない。ということで、実際の報酬よりも低いものしか出ていないと。もう一点つけております要望書の説明の2ページ目の裏側のほうに。

<図友連>

少し詳しく補足していますのでご覧ください。図友連はこれまで図書館協議会の調査をお願いし、今回レポートが出てきました。調査の目的は図書館協議会をより良くすることです。市民参加による調査の目で見ると、違和感がありましたので、補足説明をしました。例えば委員報酬の平均額は、トータル額を委員数で割ったりして、お金もらっていない委員もいるのにおかしいと思いました。調査の目的が何だったのか気になっているので、誤解を与えないように文科省から調査会社にご指導をお願いしたい。次の調査の時はしっかりやってほしい。図友連も各会員の協力を得て、図書館協議会の実態調査と課題のレポートを作っておりますので、参考資料として提供するつもりです。

<図友連>

ちょっと念のため、確認させていただきたいのですが、このような項目を出すようにということを文科省のほうから出されたのではなくて、私なんかが思うには、調査の委託先のほうがこういう数値で出してきたということだと考えているのですが、そういうことでよろしいでしょうか。文部省のほうでこの数字が必要だという、だからこれで出せといったことではないと。

<文部科学省>

本省としては項目として確認したうえで調査しているものです。

<図友連>

この調査なんですけれど、私は基本的に欠陥があるというか、なんでこんな調査をしたのかというのがあるんです。調査項目ということではいいのですけれども、調査の手法に問題がある。ひとつは回収率ですよね。回収率が4分の3程度ということだったと思うのですけれど、例えばTRCじゃなくて図書館協会に調査を委託すれば、図書館協会の年間統計の回答率は100パーセント近くあるわけですが、この調査は低い。この約75パーセントから他の25パーセントを類推し、全体を把握できるのかというとできないということが一つ。これは、値段との関係で回答しなかったところに二回も三回も督促をやらなかったということでしょうが。それより大きいのは集約の問題で基本的に欠陥があることです。調査を見て最初に驚いたのは、東京23区の図書館協議会の件数が9とあったことです。これで驚いて各区に問い合わせをしてみたら、やはり図書館協議会があるのは1区で、杉並区しかないのです。じゃなんでこんな9になったのかということですが、調査全体も見て考えたのですけれども、これは杉並区の図書館がそれぞれ回答しますので、9の地域館があると回答したものを集計して9にしたと思われます。調査全体も同じ手法によると思うのです。例えば、貸出数とか資料費とかそれぞれ各館ごとについてるから、回答を足しあげて回答館数で割れば1館当たりは出るかもしれません。しかし、各館の固有でないもの、図書館協議会や図書館政策など基本的に各自治体ごとに持つものを、こういったものを持ってますかと各館に聞いたら、複数館を持つ自治体では実数の数倍になって、それを集計すればとんでもない数値が出てきます。調査をおこなうにあたっての基本的なことを理解しない調査となっています。

<図友連>

ここらへんは、細かく言うとキリがありません。私は、指定管理の大手の会社がこの調査を請け負った点が気になり文科省に問合せて調べたところ、オープンテンダーで決めたので公平でした。しかし出てきた報告書が、本当に図書館協議会を良くしようというための資料ではなく、細かく読めば、けしてマニアチックな指摘をしているわけではなく、ただ単に調査をちゃんとやりました、これは調査会社の責任ではなく、責任は文科省にありますと言われてしまう疑問点が随所にありました。文科省の人がどういうチェックをやったのか、市民参加の一番大事な図書館法に規定された図書館協議会の実態調査なのに残念です。そういう調査をしたことを反省していただいてもう一回やり直してほしいというのが我々の要望であり、その協力はちゃんとやります。その部分の細かいところの事例を二つくらい補足説明で述べています。大変失礼ですけれど、久保さんと楠さんとで、しっかりともう一回見直してくださるようお願いします。

<文部科学省>

ご要望として、報告書のほうは今一度、確認しておきます。

<図友連>

お願いします。以上が二番目です。では三番目お願いします。

<文部科学省>

公立図書館の補助金については、平成9年度限り廃止しているが、地財措置については、文科省として、地域の実情を鑑み、増額要望を出しているところです。積算額を明確に示すことは困難であるが、図書館の振興は重要であり、現状は教育格差解消プラン事業を実施しており、図書館でご活用いただく予算がありますので、ぜひ活用いただきたい。

<図友連>

3番目については、日本における図書館のレベルが非常にプアーであることからの要望です。簡単に言えば、日本人は一億二千万人。人口が少なくなるからいいだろうとか言わないで欲しいいのですが、とりあえず現在一億二千万人に公立図書館が約三千館です。つまり4万人に一館しかないのです。経済発展している日本がです。欧米に比べて非常に図書館の数が少ない、しかも地方で格差がある。図書館がなかった時代には、中央政府が、一生懸命いろんな援助策、補助策やってきました。これをもう一度要望したい。図書館振興を目指す時代は、文科省の図書館振興係の方にいろいろお願いしたら、私どものミッションは図書館振興で同じである。ただ基本方針が出ていないから、難しい。国会議員さんにお願いして、図書館の在り方を根本から考える委員会を作ろうとなりました。現在は、じり貧になってしまうのではないかと心配しています。できない理由は沢山ありますが、どうすれば出来るかを共に考えましょう。その一つの要望が、3番目で、地方交付税がいまのところ一番簡単だからというので総務省と連携してお願いします。別の手段として文科省の中で、社会教育とは何かから始めることもあると思います。

<図友連>

では4番目をお願いします。

<図友連>

時間がありません。ではあと数分。回答だけ、4番と5番一緒にお願いします。

<文部科学省>

図書館の所管が教育委員会であることを基本とすることについては、現在まさに公立社会教育施設全体について、地方公共団体の判断をもって条例で地方公共団体の長が所管できることも可能とするような要望があったところ。社会教育施設は従来から、地域における学習ニーズに応える拠点として機能してきたことに加えて、地方活性化やまちづくり等の機能も重要だと考え、ワーキンググループを生涯学習分科会の下に設置し、専門的な検討をしていただいているところです。ワーキンググループの議論をふまえて、社会教育施設がさらに活性化して、いきいきとしていただけるように進めていくということを考えております。5番目については、社会が急速に変化している中で、社会教育の重要性が一層高まっていると認識しており、今回の組織改編も、局課を超えてより一層広く社会教育の推進を図ろうというものです。既にご存知かと思いますが、総合教育政策局として、社会教育を中心とした生涯学習政策を担う課を3課設けようとしております。生涯学習推進課、地域学習推進課、男女共同共生学習推進課という3課を考えています。なかでも人口減少等の昨今において、活力ある社会を持続可能なものにするには、地域における学びを推進するために地域学習推進課というものを作ろうとしているところです。地域学習推進課は、青少年教育や家庭教育支援も含みつつ、学校教育と社会教育の連携協働をさらに進め、地域の課題解決も含めた地域における学習を推進することを考えています。組織再編後にはいろいろな課が社会教育を担当し、ウイングを広げていくというイメージを持っています。さらに、総合教育政策局に新しく社会教育の振興を統括的に担うということが名称上明らかな、責任あるポストを配置する予定です。

<図友連>

ありがとうございました。

(本報告書は2018年5月29日に文部科学副大臣宛に提出した「公立図書館の振興を求める要望書」への回答の位置づけとなる文書です。)

※本報告書のオリジナルには文中に図友連側の個人名が記載されておりますが、個人情報保護の観点から個人名に当たる部分について一部編集しています。ご了承下さい。

>> 【2018.5.29】文部科学省事務方面談報告書(PDF)

>> 【2018/5/29】公立図書館の振興を求める要望書(文部科学省宛)